カタカナの弊害

カタカナ日本語に引きずられていませんか?

ART WORDS 広瀬 直子


日本で普通に使っているカタカナ語を英語だと思い込み、使ってみたら通じなかったという経験はありませんか。英語らしく聞こえても、実は通じないカタカナ語は数え切れないほどありますが、このシリーズではテーマ別に日本人がカタカナに引きずられて犯しがちなミスを見ていきます。英語上級者でもちょっとした「カタカナミス」を犯すことはあります。あなたは大丈夫でしょうか?(ちなみに「ミス」というカタカナ語も英語人には通じません。)

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トロントのチャイナタウンで「超級市場」「皇家銀行」と書かれた看板を見かけたことがあることと思います。「Supermarket」、「Royal Bank」の翻訳のようですが、こんなとき、日本語には外国語の発音をそのままカタカナ化するという便利な手段があることを思い出します。

しかし、カタカナで表わされる日本語が必ずしも原語を反映していないのはご承知の通りです。カタカナが英語人に通じないことがあるのは、以下のようなものがあるからです。

1.略している
[例] ミス(テイク)、テロ(リズム)、デフレ・インフレ(−ション)、マスコミ(ュニケーション)、パソコン(Personal Computer→パーソナル・コンピューター)
*英語でもtelecom (telecommunications),high-tech(high technology)のように略することがありますが、日本語の略と必ずしも一致しません。

2.意味を取り違えてカタカナ化している。または語感を優先するためか作り変えている
[例] クーラー←Air Conditioner、マンション←apartments(「mansion」は「大邸宅」の意味)、テンション(が高い、などとして使われる俗語)←hyper、excitedなど(tension は「張力」や「緊張感」の意味)、トータルに←comprehensively, overall (「totally」は「全く」という意味で、「包括的に」にという意味では使わない)

3.非英語であるか、非英語の発音が一般化している
[例] ウィルス(ドイツ語)←virus(英語では、「ヴァイラス」に近い音)、メルヘン(同)←fairytale(「メルヘンチック」はfairytale-like)、ゴム(オランダ語)←rubber

"Let's turn on the cooler"は、よほど日本人の英語に理解のあるカナダ人しか解さないと思われます。"That is very märchen-tic"は、英語・ドイツ語両方を完璧に発音したとしても、英語・ドイツ語がわかる上に造語のセンスのある人ぐらいにしか通じないでしょう。この「〜チック」ですが、英語の形容詞に多い接尾辞「〜tic」(fantastic、dramaticなど)あるいはフランス語の「〜tique」に由来すると思われます。また、「盛り上がってるね」と言おうとして、"you have such high tension!"などというと、あなた神経質で緊張しているね、というようなネガティブな意味となり友人を失うことになりかねません。

こういったカタカナ語の例は数え切れないほどあり今も増え続けています。これを迷惑と考えるか、外来語が日本語に融合され変異する自然なプロセスと考えるかは個人のご判断にまかせましょう。

次回は食べ物をテーマに見ていきましょう。

 

≪著者プロフィール≫
広瀬直子  
フリーランスの編集者・ライター・翻訳者。過去約6年間『とりりあむ』の編集を担当させていただいております。

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