
カタカナの弊害
ドライビングの英語
ART WORDS 広瀬 直子
| 日本で普通に使っているカタカナ語を英語だと思い込み、使ってみたら通じなかった経験はありませんか。英語らしく聞こえても、ネイティブにはおかしく聞こえるカタカナ語は数え切れないほどありますが、このシリーズではテーマ別に日本人がカタカナに引きずられて犯しがちなミスを見ていきます。英語上級者でもちょっとした「カタカナミス」を犯すことはあります。あなたは大丈夫でしょうか? |
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次は、車で他社へ向かうカナダ人と日本人の同僚が会話をしている場面です。運転しているのはカナダ人ですが、彼は初心者のようで、日本人社員が運転を指南することが必要になりました。ところが、日本人社員がカタカナ語で普及している単語を使ってみても、英語表現としてはおかしいものが混じるためか、理解されないことがあります。
以下にあげた日本人社員の発言の単語・熟語のうち、いずれが英語表現として正しく、いずれがネイティブにはおかしく聞こえるでしょうか。
"The front door on my side doesn't open well."(こちら側のフロントドアは開きが悪いね)
"You have to adjust the back mirrors." (バックミラーの角度をなおさなきゃ)
"This handle is very smooth."(このハンドル、滑らかに切れるね)
"The brake works well." (このブレーキは利きがいいね)
"We need to go to the gasoline stand." (ガソリンスタンドに行かないと)
自動車関係の会社にお勤めの皆様には簡単かと思いますが、カタカナ語に慣れた日本人には意外と間違いやすいものです。以上のうち、カナダ英語表現ではないものは、「handle」、「back mirror」、「gasoline stand」。自動車のハンドルは、「steering wheel」、バックミラーは「rearview mirror」。日本人にもわかりやすく発音しやすいように作り変えられている、あるいは略されている良質な和製英語といえるでしょう。ガソリンスタンドは北米英語で「gas(oline) station」、「service station」などといわれ、「stand」という表現は使いません。ブレーキは和製英語ではありませんが、日本語化すると発音が変わっています。 英語の「brake」は 「ブレイク」に近い発音です。
さて、前記の日本人とカナダ人、高速道路から出ようとしています。以下の日本人の発言の中にも、英語表現としておかしい単語、あるいは熟語が3つあります。いずれでしょうか。
"You will have to speed down on the ramp. Release the accel and use the change lever to shift the gears down."(ランプではスピードを落とさないと。アクセルから足を離してチェンジレバーでギアーを落として)
"This car is equipped with a wonderful stereo. Let's play a CD." (この車、いいステレオがついてるから、CDをかけようよ)
"The road is newly paved with asphalt" (この道、新しいアスファルトで舗装したね)
アクセルは英語の「accelerator」を略したものです。「gas pedal」と言われることもあります。チェンジレバーは「gear shift」、「gear stick」、「stick shift」などと呼ばれ、「change lever」は北米では一般的な表現ではありません。「Stick shift」はまた、マニュアルカーの意味でも用いられます。ステレオは通常「stereo set」です。 「stereo」という単語は、「立体音響再生」という意味をもちますが、装置そのものを指しません。(ただし、略式で、「stereo set」 を「stereo」と呼ぶネイティブスピーカーはときどきいます)。最後の文章はちょっとしたひっかけ問題でした。「asphalt」は英語にはないのでは?と思いきや、この文には間違いは含まれていません。
ドライビングにまつわる単語は安全にもかかわります。「ブレーキかけて!」がすぐに出てくることが必要ですね。英語ではbrakeは動詞にもなりますので、「Brake!」のひとことでOKです。
もちろん、上記のような指示が必要な人は、交通量の少ない道路でまず練習すべきであり、高速道路を走るべきではありません。
≪著者プロフィール≫
広瀬直子 フリーランスの編集者・ライター・翻訳者。過去約6年間『とりりあむ』の編集を担当させていただいております。
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