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インタビュー・シリーズ この人に聞きたい
古典的風景画に新しい感性を持ち込む画家
熊澤慎也さん

製作中のスタジオで
フリーライター 篠原ちえみ
| トロント在住の日本人には桜で知られる公園、ハイパーク。ここで絵を描いている日本人画家がいたら、熊澤慎也さんだと思って間違いないでしょう。ほとんど無名の作家としてカナダに来て4年、今やプロの油絵画家として活躍する熊澤さん。ハイパークから目と鼻の先にあるアパートにお邪魔して、これまでの作品を見せてもらいながら絵画に対する思いを語っていただきました。 |
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ハイパークとの出会い

Winter Trees |
「絵の描けるところ」---それが唯
一、熊澤さんが奥さん(当時はガールフレンド)のステイシーさんに頼んだ、トロントでのアパート探しの条件でした。エドモントン生まれのステイシーさんは、画家である熊澤さんとの生活を始めるにあたって、ハイパークにほど近いアパートを選びました。「ハイパークの画家」として知られる熊澤さんをこの公園に結びつけてくれたのは、実は奥さんのステイシーさんだったのです。
最初は生活を支えるためにアルバイトをするべきか迷ったこともあると言います。しかし、ステイシーさんのアドバイスもあり、これまでずっとフルタイムの画家としてやってきました。幸い、早くから絵を買ってくれる人たちも現れました。
通常、アーティストが作品を展示する場所はギャラリーですが、熊澤さんにはもうひとつの'戸外ギャラリー'がありました。「ハイパークで描いていると、周りの人たちは最初、ふーん、絵を描いている人がいるな、と思うだけ。でも、やがて近くにやってきて絵を眺めたり、話しかけてきてくれます」。ある時など、「ジョギングして行った人がしばらくして戻って来て、この絵を売ってくれないか、と訊いてきたり」。描いている先から売れていった絵も多いと言います。
買ってくれる人は、コレクターや美術愛好家などではなく、ハイパークを散歩している地元の人たち。「アート関係以外にも鑑識目をもつ人はたくさんいます」。熊澤さんは、一般の人たちが持つ、そうした感覚に強い信頼を置いていると言います。
求め続ける姿勢

Water Lillies |
これまでに手掛けた作品を見せていただいた。セザンヌ、モネなどの印象派とゴッホの影響が多分にみて取れます。人物画、静物画を見ると、構図の取り方、陰影の付け方など、画家として必要な技術をしっかり身に付けていることは一目瞭然。しかし、驚いたことに、美術系の大学で学んだ経験はないと言います。スペイン滞在中、バルセロナのアートスクールで3ヶ月間絵を学んだのがプロの画家として受けた唯一の訓練だとか。職業として「絵を描くことで生活していこう」と決心したのは、カナダに来て、これからの人生を考えた時でした。「両親がドローイングをしていたので、小さな頃から絵になじみはありましたが、アリゾナ大学で専攻したのは哲学でした。だから、コンテンポラリー・アートについてはあまり知らないんです」。そうあっさり認めながら、現在もトロント・スクール・オブ・アーツでコースを取り、学ぶ姿勢を保ち続けている。
作品のなかには、時に熊沢さんの作品とは思えないような抽象画やインスタレーションなどが混ざっている。完成したかに見えた風景画を抽象のヴェールで覆い、まったく別の絵に変えることもある。風景画にこだわりながら、そのスタイルが微妙に変化しているのがよく分かる。「静的なものからエネルギッシュなものへ、今度は静的なものへと、いつも作っては壊していく作業のなかから、自分の欲しいものを探して行く。そうした実験のなかで、自分の位置を確かめたい」。"古典的"と言われる風景画を描きながら、熊澤さんはその枠内に留まらない探求心を持ちつづけています。
それでは、熊澤さんにとって理想の絵とは? という問いに、しっかりした答えが返ってきました。「求めているものとの完全な一致はありえないでしょうね。でも、僕にはそのベクトル(方向性)こそ大切なのだと思います」。常に描き続けること、そして、求めつづけること。失敗や後悔が存在する余地は、まったくないようです。
現在、熊澤さんは、来年3月に開催されるメトロ・コンベンション・センターでのInside Art Showへの出展準備に追われています。「今は大きな絵を描くのが楽しいですね。大きなストロークなんか使うと、体全体で描いているという感じがして、一体感があって楽しいんです」。
2月には初めてパパになるという喜びが待っている熊澤さん。子どもを連れて出身地長野へも帰国したいと言います。様々な変化がやってきそうな2004年、画家としての自信はどんどん大きくなっていくようです。
*熊澤さんのこれまでのおもな活動
| 2003年 |
Inside Art Show, Metro Convention Centre(トロント) |
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PH Gallery (ニューヨーク) |
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Wagner rosenbaum Gallery (トロント) |
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Gallery 1313, Cell Gallery (トロント) |
| 2002年 |
Distillery District Outdoor Exhibition (トロント) |
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Art for Art's Sake, Outdoor Exhibition (トロント) |
* 熊澤さんの作品は以下のウェブサイトで見ることができます。
www.hometown.aol.com/shinyakumazawa
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