
リレー随筆
2回目のカナダ勤務
Panasonic Canada Inc. 江 崎 英 二

早いものでカナダに赴任して、既に3年となりました。本当に時の経つのは早いものです。今回は2回目のカナダ勤務であり、第1回目は17年程前でした。まさか、またカナダに来るとは思っておりませんでした。今回、カナダに来て驚いた事が数多くあります。
初めて出社した日、従業員の出迎えを受けましたが、ほとんどが以前に勤務していた時に出会った人々でした。私が日本で17年間仕事をしている間、彼らも我社にずっと勤務していたのです。終身雇用という風土のない北米で、このように長期間勤めている人がいるのには驚きました。
さらに驚いたのは、我社のあるミササガ市の発展ぶりです。昔はリンゴ畑だらけの町でしたが、今はまさに住宅ブームで、こんなジョークがあるほどです。『ミササガ市には四季がなく、季節は2つしかない。それはWINTERかCONSTRUCTION!』
人口増加に新築ブーム、木々が極めて少なくなり、まるで日本の新興住宅地のようになっています。
3年間を振り返って最も嬉しいのは、17年前に仕事でお付き合いしていた販売店が事業を拡大し、大成功している事です。1店舗の小さな店から20店舗以上になったところもあります。彼らの事業への情熱には学ぶところが数多くあります。
最近、一体何の為に事業をやっているのか、自分はお客様以上に情熱があるのか自問自答しながら、自分をどう高めていけるのか考える事が多くなりました。
日本のテレビ番組を見ていると、どうも社会の情熱が少なくなってきたように感じます。社会での生き方のセレクションが減ってきたからではないか、もっと生き方のセレクションが増えてもいいのではないかと思います。その点では、カナダ人の方が多種多様な価値観を持ち、人生のセレクションも幅広いように感じます。カナダの学校に比べると、日本の学校教育は生き方のセレクションについては何も教えていないのではないか、そんな気がします。
昔から続けている趣味のひとつにオフロードバイクがありますが、この趣味を通じて多くの友人家族と出会いました。彼らを見ていて感じるのは、彼らにとって最重要単位は家族であるという事です。数多くの、いわゆる「親バカ」も見ましたが、父親の存在感が非常に大きく、日本の父親も少しばかり見習うべきだと、つくづく感じます。その最大の原因は、日本の実労働時間(残業?)の長さにあるのかもしれません。
自身を振り返ると、小学生の頃トランジスタラジオを作り、その後ハム少年、無線の虫になり、大学では電子工学を学び、会社には技術者として入社しました。しかし、26歳の時にニューヨークに住み、急に生き方の多様性を知り、技術からマーケティングに転向しました。自分の興味が大きく変わった事に今更ながら驚いています。私は何かに興味がわくと、のめり込んでいく性格で、カナダではのめり込んでいくものが見つかるのではないか、という気がしています。今は、モトクロスと数学を子供達に教える学校を将来やってみたいといった変な事も考えています。
多様性のある文化の中で、更に多くの人々と出会える機会を大切にしながら、生涯のめり込めるものを探すことができれば、と考える今日この頃です。
次回のリレー随筆は、ヤマハモーターカナダ社の小嶋要一郎社長に
お願いしております。
≪著者プロフィール≫
江崎英二
岐阜県に生まれる。子供の頃から科学少年で、ハム少年となり、エレクトロニクスの虫だった。松下電器入社後は、開発、商品企画、海外営業を担当、いつも転々としてきた。18歳頃から興味を持ったオフロードバイクは、以来ずっと続いている趣味のひとつ。カナダは2回目の勤務。
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