リレー随筆


極楽スノーモービリングの楽しみ


ヤマハモーターカナダ 小嶋 要一郎


カナダに赴任して2年が経過し、3度目の冬を迎えています。日本では冬になると良く風邪をひいていましたが、こちらに来たら余り風邪をひかなくなりました。日本に比べて住宅の暖房事情が良いせいか、夜の巷を出歩く機会が無くなったせいか、いずれにしてもこの幸運を喜んでいます。

さてカナダの冬といえば厳しい寒さと雪。1月はここトロントにも幾度か寒波が訪れましたが、この厳しい冬を恨めしく思う人もいれば、これを待ち望んでいる人達もいます。

後者の代表がスノーモービルの愛好者達(と、私の様な関係者)。そもそもスノーモービルはカナダで発明されたもので、当然当地では馴染みの深いレジャーのひとつ、さすがに発祥の地とあって専用のトレールコースが網の目に整備され、その総延長はオンタリオ州だけでも北部を中心に約5万キロにもなります(日本を十何周も出来る距離!)。

このトレールはライダー達の所属するクラブが管理にあたり、随時グルーミングされ、必要な道路標識やガソリンスタンド、休憩所もあって安全で快適なツーリングが可能になっています。

私も昨年、ケベックのモントレンブラン周辺でツーリングを経験する機会がありました(実はスノーモービルにこれまで関わった事が無く初めての体験)。真っ白な雪に覆われたトレールを、丘を越え山を回り、林の中、湖の上を通り抜ける。太陽光に輝く樹氷は美しく、時に動物の足跡などを発見するのも嬉しい。少し疲れれば休憩所で暖かいコーヒーを飲み、他のスノーモービラー達と触れ合う。これぞ極楽スノーモービリング、本当に楽しい一時でした。こんな環境を求めて欧州からも多くのツーリストがスノーモービルに乗りにやって来る程で、雄大な大自然の中でこんな楽しみ方が出来てしまうのもカナダならではのものでしょう。

ところで私が最初にこの大掛かりなトレールコースの話を聞いた時、「遊びの為にここまでやるの?」と正直驚きを隠せませんでした。夏のコテージシーズンも経験するなどして徐々に彼らのスタンスが理解出来る様になってきましたが、彼らにとって余暇はそこまで真剣に取り組むべき対象なのでしょう。そうかと思うと一方では社会人になっても自発的に夜間のカレッジに通いながら自分を磨くと言った側面も持ち合わせている(私の回りにも多数います)。こういった所を見るにつけ、カナダ人の 「仕事」と「余暇」のバランスの取り方の見事さに感心してしまう訳です。

彼らは子供の頃からしっかりした「自己」を持つ事が要求され、他人や流行に流されない価値観を持つ様になる。その上社会に出れば転職が前提、個人単位で自分自身の人生(家庭、余暇、仕事といった事)を見直す機会が多い。そういう事を通しておのずと人生の中での「仕事」と「余暇」の間合いが上手く取れる様になるのかな、と勝手に解釈しています。

私はと言えばレジャーを提供する会社にいながら余暇下手、人生の間合いの取り方も未だにわからずフラフラしている状態で、カナダ人の生き方は大いに参考になります。

この冬もまたケベックにスノーモービルに乗りに行き、少しでもカナダ人の境地に近づければと思っています。皆さんもカナダにいる間に一度お試しになっては如何ですか?

次号は郵船航空サービスの古澤社長にお願いします。

 

≪著者プロフィール≫
小嶋要一郎
静岡県生まれ。ヤマハ発動機入社後、主に先進国向け海外営業を経験。前回駐在地のシドニー(1990年〜1995年)に続き、生活環境の良い所に恵まれました。大の方向音痴でスポーツ観戦が趣味。妻と息子一人、補習校でお世話になっています。

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