カタカナの弊害ー日用品の英語


ビニール袋はどうして「プラスチック バッグ」?


ART WORDS 広瀬 直子


日本で普通に使っているカタカナ語を英語だと思い込み、使ってみたら通じなかった経験はありませんか。英語らしく聞こえても、ネイティブにはおかしく聞こえるカタカナ語は数え切れないほどありますが、このシリーズではテーマ別に日本人がカタカナに引きずられて犯しがちなミスを見ていきます。英語上級者でもちょっとした「カタカナミス」を犯すことはあります。あなたは大丈夫でしょうか?

◇◇◇

ある休日、カナダ駐在の日本人社員がカナダ人の友人とスーパーへ買い物に行くことになりました。日本人社員は、妻に頼まれた買い物リストを手にしています。

日本人:
"My wife gave me a shopping list."
(妻に買い物リストを渡されてね)
カナダ人:
"What do you have to buy?"
(何を頼まれたの?)
日本人: "Let's see... she wrote the items in Japanese..."
(日本語で書いてるんだけど・・・)



奥様の書いた手書きリストは以下の通りです。

  ・シャンプー
・リンス
・トリートメント
・マニュキア
・ピンセット
・ボディシャンプー


あっ、それからスーパーのビニール袋もタダならレジのところで多めにもらってきてね。


日本人社員はこれを英語で読んでみます。

日:
"She says 'shampoo', 'rinse', 'treatment'...
(シャンプー、リンス、トリートメントに・・・)
カ:
"Do you mean 'conditioner' by 'rinse'?"
(「リンス」って conditioner のことじゃない?)


その通り。リンスは英語でconditionerです。「Rinse」には、「ゆすぐ」という動詞、「ゆすぐこと」という名詞のほか、髪を一時的に軽く染める毛染めの意味もあります。

シャンプーは「shampoo」ですが、トリートメントはそのままで使うよりも、「hair treatment」と呼ばれるのが普通です。


日:
"OK... she also wrote down 'manicure', 'pinset' and 'body shampoo' ..."
(そう・・・。他にもマニキュア、ピンセット、ボディシャンプーってあるんだけど)
カ:
"I understand 'body shampoo', but what are 'manicure' and 'pinset'?"
(ボディシャンプーはわかるけど、マニキュアとピンセットって何?)


「Manicure」はプロの美容師による爪の手入れという意味で使われることがありますが、爪の塗料であるマニュキアは「nail polish」と呼ばれます。

「ピンセット」はフランス語の「pincette」あるいはドイツ語の「Pinzette」に由来し、英語では「tweezers」と呼びます。「Pin set」は、カナダ人にはピン数個を集めた「セット」のように聞こえるでしょう。

それにしてもこの奥さん、どうも自分のものばかり頼んでいるようです。

さて、「スーパーのビニール袋」ですが、「スーパー」はご存知の通り「supermarket」(「super」を単独で使うと「すごい!」の意味)、ビニール袋は「vinyl(発音は「ヴァイヌルに近い」) bag」とは言わず、「plastic bag」と呼びます。

ところで私は、子供時代にいつも理科をさぼっていたせいで、恥ずかしながら、化学的にビニールはプラスチックの一種であるということを「plastic bag」という言葉によって初めて知りました。しかし、スーパーのレジで渡される袋は「ビニール袋」と呼ばれることが多いものの、実際にはビニールではなくポリエチレン素材のものが多いのです。日本で「レジ袋」という言い方が増えてきたのも「ビニール袋」という言葉が間違っていることがあるからかもしれません。

「レジ袋」もいいですが、ビニールもポリエチレンもカバーする「plastic bag」も、素材を間違えずにスーパーなどで渡される買い物用の袋を指すことができるわけです。

 

≪著者プロフィール≫
広瀬直子  
フリーランスの編集者・ライター・翻訳者。過去約6年間『とりりあむ』の編集を担当させていただいております。

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