カタカナの弊害-服にまつわるカタカナ語


オフィスのカタカナ語


ART WORDS 広瀬 直子


日本で普通に使っているカタカナ語を英語だと思い込み、使ってみたら通じなかった経験はありませんか。英語らしく聞こえても、ネイティブにはおかしく聞こえるカタカナ語は数え切れないほどありますが、このシリーズではテーマ別に日本人がカタカナに引きずられて犯しがちなミスを見ていきます。英語上級者でもちょっとした「カタカナミス」を犯すことはあります。あなたは大丈夫でしょうか?

◇◇◇

今回は、オフィスのカタカナ語です。

A: 今日プレゼン*があったんですが、コンセント*が壊れていたためにラップトップに電力が行かず、途中で切れてしまいました。
B: それは残念でしたね。そのあとどうしましたか?
A: 急いで自分の机に戻り、プレゼンの資料を印刷したものをホッチキス*で止めて配り、急をしのいだんです。
B: それはそれは。いざというときはハードコピー*様様ですね。


<回答>

「プレゼン」はご存知の通り、「プレゼンテーション」の略であり、英語では「presentation」とし、略しません。「コンセント」は英語ではなく、通常「(electric)outlet」と呼ばれます。「プラグを差し込む」は「plug in the outlet」です。英語の「consent」は「同意」の意味。どこから「コンセント」というカタカナ語が生まれたのか、定かではありません。「ホッチキス」は「stapler」。ホッチキスという言葉は、19世紀の兵器の発明家ベンジャミン・ホッチキスの名前にちなみます。兵器の機構から、ホッチキスの仕組みを生み出した、と言われていますが、現在、彼の名が実際のホッチキスに使われることは英語圏ではありません。「ハードコピー」は英語でも「hard copy」です。

では、次の会話はどうでしょうか。

A: Bさんすみません、シャーペン*とペーパークリップ*があれば貸してください。
B: シャーペンはありますけど・・・。ペーパークリップはないですね。他のものは大丈夫ですか。
A: あっそれと、セロテープ*とメモ*用紙もお願いします。
B: メモ用紙は確かアタッシュケース*の中にあったな・・・。Aさん、もう少しちゃんと文房具をそろえておいた方がいいですよ。


<回答>

「シャーペン」あるいは「シャープペンシル」は「Sharp pencil」ですが、英語で「S(s)harp pencil」とはいいません。いうなれば「mechanical pencil」。電化製品のシャープ社の創業者、早川徳次氏が1915年に発明した金属繰り出し鉛筆がその原型であることが、日本では「シャープペンシル」と呼ばれるゆえんです。同社の名前はこの製品に由来します。

ペーパークリップは「paper clip」です。セロテープは「Cellophane tape」の略ですが、セロハン(cellophane)はイギリスの企業の商標。北アメリカでは普通「Scotch tape」と言います。Scotch tapeもアメリカ3M社の商標であり、シャープペンシルと同様、企業のつけた商品名が、そのもの自体を一般に指すようになった例といえます。「メモ」は「memorandum」の略「memo」でもいいのですが「note」ともいい、「memo」「note」ともに、非公式の覚書やメッセージを指します。「メモを取る」は「take memos」「take notes」、メモ帳は「note pad」、「memo pad」などです。

「アタッシュケース」のattache {e の上にアクセント}には大使や行使のお供の意味があり、フランス語ですが、英語でも「ttache {e の上にアクセント}」(アタシェイ・ケイスに近い発音)という種類の書類かばんに用いられます。
 

≪著者プロフィール≫
広瀬直子  
フリーランスの編集者・ライター・翻訳者。過去約7年間『とりりあむ』の編集を担当させていただいております。

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