
リレー随筆
肌で感じる米加国境
住友商事 山本隆夫

2002年9月某日、もうすっかり秋めいた陽気のサンフランシスコを飛び立ち、まだ残暑の残るこのトロントに異動してきました。翌朝、西海岸からの3時間の時差を抱え、やっとのことで目を覚ました私は、大事な初日の従業員への訓示を寝ぼけ眼で行うわけにはいかないと、事務所隣のスタバでお気に入りのTall Skim Latteを注文。「うん?通じないぞ。やっぱり、東海岸では通じないのかなぁ、この発音じゃ。まぁいいや、じゃぁ、Tall Coffee, please!」「うん?マイルド?ボールド?よく判らないけど、マイルドで」というやり取りを一通り終えて、スタバコーヒーを片手に颯爽と登場し、会議に臨んだのでした。
(注) カナダではSkim Latte=Non Fat Latte。またアメリカは通常コーヒーは一種類のみ。
緊張感漂う中での第一声は、「変化の激しいこの時代、私のシリコンバレーでの5年間の経験を活かしたスピード経営でみなさんと一緒にこの会社を変革していきたいと思います。よろしく」―。訪れる静寂。それを破るように前任者の「それでは各自、自己紹介を」という一言で、皆、何事もなかったかのように名前と担当業務のみ発言し、初めての会議は終わりを告げたのでした。その時は、随分静かなスタッフだなぁ、ぐらいにしか気に留めていませんでしたが、どうやら、これには理由があったようです(それが判ったのはしばらく経ってからですが、みなさんはいかがですか?)
先ず、スタバのコーヒー。カナダではコーヒーと言えば、Tim Hortons。ダブル、ダブルなんて注文してますね。私も初めて行った時に「How would you like?」と聞かれて、思わず「Medium Rare!」と答え、冷たい視線を浴びました。
そして畳み掛けるように「シリコンバレーでの経験」「スピード経営」「変革」です。何れもアメリカを感じさせるキーワード。「住友カナダって日系カナダ企業じゃないの?」っていう無言の声が聞こえますね。
郷に入っては郷に従え、というわけで、今では、コーヒーをTim Hortonsに持ち替え、「カリフォルニアとトロントとどちらが良い?」と聞かれれば、間髪入れずに「直接、比較はできないけど、両方とも良いですね」と答えるところまで成長した私ですが、「スピード感」と「変革」だけは譲れません。だって、一夜明けたら、カナダ人の誇りであるビール会社のMolsonがCoorsと合併してしまう時代ですよ!「I am Canadian!!」というコマーシャルはどうなるんでしょう?そうそう、それで思い出しましたが、みなさん、かの有名な「My name is Joe!! And I am Canadian!!!」というコマーシャルはご存知ですよね。カナダ人を知るには一番と固く信じています。まだ、ご存知ない方はこちらまで。
http://www.coolcanuckaward.ca/joe_canadian.htm
次号は資生堂カナダの堀社長にご登場をお願いしております。
≪著者プロフィール≫
山本隆夫
東京都出身。住友商事(株)入社後、エレクロトニクス関連を担当。1997年に満を持してカリフォルニア州に赴任以来、7年間の北米生活。北米名はGeorge Yamamoto。アメリカ人一児を含む4人家族。趣味は老成したゴルフとNHL観戦。
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