趣味と私

アイスホッケーを10倍楽しむ方法


カナダみずほコーポレート銀行 熊崎潤



カナダといえばアイスホッケー。別名「氷上の格闘技」とも呼ばれ、スピードとスリルそして迫力満点のカナダ生まれのスポーツです。私は大学時代にアイスホッケーをやっていましたので、カナダは昔からの憧れの国でした。大学でプレーしていた頃は試合中に殴られ鼻を骨折しましたし、両目瞼も切り、数針ずつ縫っています。その頃の毎日はというと、スケートリンクで夜の12時頃練習が始まり(夕方までは一般開放、その後フィギュア、最後にホッケーの順にリンクを使用)、深夜2時練習終了後食事、早朝4時就寝、昼頃起床し「朝食」、その後陸上トレーニング、夕方に「ランチ」という昼夜逆転の生活。いったいいつ授業に出席していたのでしょうか。良く卒業できたものです。

さて今回は、そういう学生時代の話はさておき、アイスホッケーの道具やルール、試合のみどころなど観戦がより楽しくなるようなチップを皆様にご提供したいと思います。


ホッケーの道具

はじめに道具についてです。まずはパック。大きさは直径7.6cmで材質は硬化ゴム。ただゴムといっても決して柔らかくはなく、むしろ石のように硬く重いと考えて下さい。これがシュートの場合時速100km以上で飛んできますので、防具の薄いところに当たると痛い。特に足にあたると悶絶もの。で、以前はアンクルガードをしている人もいましたが最近では靴が進歩したのかあまり流行らないようです。実際の観戦ではシュートしたパックが観客席に飛び込んで、けがをすることがありますので十分に注意して下さい。

スティックは木製で先端をグラスファイバーで強化しています。それでも木製なので衝撃でよく折れます。日本では一本5000円くらいでしたので、学生にとっては高級品。試合では気合を入れて新品を使うことが多いのですが、運悪く一回で折れると悲劇そのものです。カナダでは20ドル前後から売っていますので、記念に買っておかれては如何でしょうか。因みにスケート靴も50ドル前後で結構良いものが手に入ります。


観戦するのに知っておきたいルール

ホッケーのルールでどこが面白いかと言うと、選手がいつでも自由に何回でも交代できることです。通常1人一回のプレー時間の限度は1分から2分。それ以上は体が持ちません。TVでは選手交代はあまり映りませんが、実際には驚くほど頻繁に交代しています。通常はゴールキーパー1人、ディフェンス2人、フォワード3人でプレーします。ときどき間違えて、6人しか氷上でプレーできないのに7人プレーしていることがあり、あわてて戻ることも(審判にみつかれば反則)。極めつけは、負けている時に行うキーパーがフォワードに交代しての6人攻撃。リスクはありますがこれが決まったときの快感は格別です。

試合を観戦する上で最低限知っておきたいルールは、オフサイド、アイシング、ペナルティです。

オフサイドは、待ち伏せはダメ、というルールでサッカーにもありますが、ホッケーはサッカーよりも判り易く、人間の位置ではなくてブルーライン(注)を境に判定します。


(注)氷上を三分割するのが二本の青色のブルーラインです(下図参照)。攻撃側からみて相手陣をアタッキングゾーン、真中をニュートラルゾーン、自陣をディフェンディングゾーンと呼びます。真中の線は赤色なのでレッドラインまたはセンターラインと呼びます。
 


具体的には、攻撃側が相手のゾーンに攻め込むには、いかなる状況でも、まず人間ではなくパックを先頭にして攻め込まなくてはならない、という決まりです。
従って攻める場合には、フォワードはパックを自分で相手陣(=アタッキングゾーン)に持ち込むか、自分がパックを持っていない場合にはブルーラインの手前でパックが来るまで待たなくてはなりません。面倒なときは誰かが相手陣にパックをまず流し込み、そしてフォワードが一斉に相手陣に突入します。逆にパックがちょっとでも相手陣からブルーラインを超えてニュートラルゾーンに出てしまえば、攻撃側は全員いったん攻撃を中止し、相手陣から出てニュートラルゾーンに戻らなくてはなりません。このルールのため、いつもブルーライン上で激しい攻防が繰り広げられる訳です。

アイシングは攻撃側がレッドラインより手前でプレーしたパックが、誰もさわらず相手ゴールラインを超えた場合、攻撃側のディフェンディングゾーンまで戻ってプレーが再開されるというルールです。ただペナルティの時1人少ない場合には適用されませんので、時間かせぎに防御側はパックを頻繁に相手陣に放り込みます。
オフサイドとアイシングにはペナルティはなく、決められた位置からフェイスオフでプレーを再開します。

ペナルティは通常は2分間の退場です(パワープレーといいます)が、点を入れられたらその時点でペナルティが解け、氷上に戻ります。ホッケーではボディチェックは認められていますが、殴る蹴る引っ掛ける掴むなどの危険な行為、卑怯な行為にペナルティが課せられると理解しておけば大丈夫です。程度によって5分間の退場など様々なケースがあります。ちなみに通常の肩で行うようなボディチェックであれば、フェンスにぶつかっても(音は大きくても)防具をつけていますからそんなに痛くはありません。ただヒップチェックといって腰で当たられると、吹っ飛ばされることがあり、これは強烈です。


選手がグラブを脱ぎ捨てたら要注意

最後にラフプレー・ファイト(乱闘の類)です。試合中熱くなると時々ボカスカやっているのを見ます。もちろん反則です。野球でも起こりますが、分かってはいるがついつい、というところでしょう。こういう時、実は手にグラブをつけたままファイトしてもさほど痛くはありません。本気になった場合には、まず両手のグラブを氷上に投げつけてからファイトします。素手になったら要注意です。

余談になりますが、私は大学を卒業するときに某先輩から、「将来仕事で海外に行ったら、絶対外人にホッケーをやっていたといっては駄目だ。興奮することが好きな野蛮人のように見られるぞ。」と有り難くも厳重な忠告を受けました。しかし当地に赴任してから、恐る恐るカナダ人に、自分は昔アイスホッケーをやっていた、と話しましたところ、幸いにも彼らはウェルカムをしてくれ私をビジネスマンとして認識しているようなのでホッとしています。全く人騒がせな先輩がいるものです。

ということで概略ですがご参考になれば幸いです。トロントのスケート場は大人も無料で滑ることができ、環境は最高です。皆様がこのカナダで大いにアイスホッケーを楽しまれることを願っております。

PS:ただ今、アイスホッケープレーヤーを募集しております。見るだけでなく、やってみたいという方は是非ご一報下さい。お待ちしています。



《冬合宿のある風景》

みずほコーポレート銀行 熊崎様冬合宿は屋外の天然リンク=湖で行いました。基本的にはフェンスやゴールもない基礎練習です。松原湖で合宿した時は、ワカサギ釣りの盛んな湖でしたので、その釣り用の穴に落ちないように注意してスケーティングをします。パス練習でミスすると、パックがその穴から落ちてしまうことがあり(湖の底まで到達し回収不能)、先輩から怒鳴られます。幸い私自身は落ちませんでしたが、昔の先輩の中には穴に落ちた人もいたそうです。 赤城山の合宿では、重い防具を着けたまま、旅館から湖のある山頂近くまで、真冬の雪道を30分以上登山してから練習です。ここは風が強く、向かい風の時は蹴っても蹴ってもなかなか前に進みません。技術よりは体力の要る合宿でした。いずれも今では懐かしいワンシーンです。



≪著者プロフィール≫
熊崎 潤
79年入社後福岡、スイスなどを経て今年3月トロント着任。趣味はゴルフ、ホッケー、囲碁など。冬になり、ゴルフの代わりに最近はまっているものは、週末の暖炉です。

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