Who's Who Canada−著名カナダ人を知ろう

 

わずか2年で、ビジネスマンから「世界一速い男」に

ドノバン・ベイリー
Donovan Bailey

Donovan Bailey
Donovan Bailey
Courtesy of Library and Archives Canada
(Canadian Olympic Committee Database)




フリーランスライター 三藤あゆみ


師も走る12月・・・ということで今回は「走り」で世界に名をとどろかせた12月生まれのカナダ人、ドノバン・ベイリーの登場です。

◇◇◇

1996年、アトランタオリンピックで当時の陸上100m世界記録を塗り替えたドノバン・ベイリーは、オンタリオ州オークビル市の出身です。

子供の頃、家族と共にジャマイカからカナダに移住してきたベイリーはバスケットボールに夢中のスポーツ少年でした。オンタリオ州のシェリダンカレッジに入学してからもビジネスとマーケティングを勉強しながらカレッジのバスケットボールチームで活躍していました。しかしプロスポーツ選手を目指すことはなく卒業後は株ブローカー会社に就職し、しばらくしてテレマーケティングビジネスを経営しはじめました。

「ナショナルチームの陸上選手より俺のほうが速く走れるぞ!」。ある日カナダ陸上選手権のテレビ中継を見ていたベイリーはそんなことを言い出しました。そのとき優勝した選手は高校時代の知り合いだったのですが、ベイリーは過去に100m走でその選手に勝ったことがあったのです。それなら自分も陸上大会に出てみようと仕事の傍ら走る練習をはじめ、機会があるとカナダ国内の陸上競技に参加するようになりました。

そして26歳の年、彼の才能を見抜いたコーチの勧めで初めて陸上選手としてのトレーニングを本格的に開始しました。

世界レベルのスプリンターを目指すには遅すぎるスタートにもかかわらず、それからわずか1年後、ベイリーは世界陸上男子100mで優勝、そして次の年に開催されたアトランタオリンピックで当時の世界記録を破る9.84秒で金メダルを獲得することになります。

アトランタの翌年にはスカイドームで行われた"世界最速決定レース"で200m走世界チャンピオンのマイケル・ジョンソンと対決して勝利をおさめ"世界で一番速い男"のタイトルを手にいれました。

違う種目でオリンピック金メダリストとなったベイリーとジョンソン本人どうしが、どちらが世界一速いスプリンターか言い争いとなり「それなら勝負して決着をつけよう」というのがレースの行われたいきさつです。

株の売買やマーケティングビジネスで大きな勝負をしてきたドノバンは、「ひとさまの大金がかかっている勝負に比べたら競技本番のプレッシャーなどたいしたことはない」と言ったそうです。

現在、陸上から引退したベイリーは再び勝負の場をビジネスに移し、株ブローカーとマーケティング業そして建設会社を兄弟と共に経営しています。また、次世代の陸上選手を育てるためのドノバン・ベイリー基金を設立したほかカナディアン・キャンサー・ソサエティに貢献する慈善事業を行なったり本を執筆したりと地元でさまざまな活動をしています。

ベイリーの世界記録は99年にアメリカのモーリス・グリーンによって破られ(9.79秒)、2002年にはティム・モンゴメリが9.78秒と記録を更新していますが、50mのタイム(5.56秒)では今も世界一を保持しています。


<おもな優勝記録>

カナダ選手権 金メダル
パン・アメリカン大会 金メダル
グッドウィル・ゲームス 金メダル
英連邦競技大会 金メダル
世界選手権 金メダル
アトランタオリンピック 金メダル


トロントのExhibition Place内にあるカナディアン・スポーツ・ホール・オブ・フェイムにドノバン・ベイリーの功績が展示されています。
http://www.explace.on.ca/main.html(場所、開館時間などの情報)

ドノバン・ベイリー本人によるホームページ
http://www.donovanbailey.com/

プロフィール、記録ほか。
http://www.canoe.ca/OlympicsCanadaBailey/home.html




≪著者プロフィール≫
三藤あゆみ
フリーランスライター/翻訳家、映像プロダクション通訳。日本の高校卒業後イギリスへ渡り、後にトロントに移住。埼玉県生まれ。
 

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