
カタカナの弊害
パーティーで
フリーランスライター 三藤あゆみ
| 日本で普通に使っているカタカナ語を英語だと思い込み、使ってみたら通じなかった経験はありませんか。英語らしく聞こえても、ネイティブにはおかしく聞こえるカタカナ語は数え切れないほどありますが、このシリーズではテーマ別に日本人がカタカナに引きずられて犯しがちなミスを見ていきます。英語上級者でもちょっとした「カタカナミス」を犯すことはあります。あなたは大丈夫でしょうか? |
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寒くて長いトロントの冬は、年末年始だけにとどまらず家に友人を招き、食べたり飲んだりしながら気さくに語り合うホームパーティーを開くのも週末を楽しく過ごす方法のひとつです。同僚のジョンの家に招かれたTさんは「ノミ(飲み)ニケーションは仕事仲間と心を通じさせるのに一番よい機会」などといって出かけますが、カタカナ英語の連発で思わぬミスコミュニケーションに・・・。
Tさんは奥さんと一緒にジョンの家を訪ねます。おみやげに持ってきた奥さん手製のデザートをジョンに手渡し、「これ、シュークリームだから後でデザートにでも」というとジョンは「?」・・・。それもそのはず、ジョンにとってはシュークリーム(Shoe cream)という単語は、まるで靴用クリームみたいです。英語では、"Cream puff"といいます。
ジョンが飲み物を勧めます。ワイン、ビール、カクテルも作れるし、ジュースも何種類も用意してあるよ、というのでTさんの奥さんは「パインジュースありますか?」。「え?そんなジュース、カナダでは飲まないよ」と笑うジョン。スーパーでよく売っているのにおかしいなと奥さんは思いましたが、パインジュースは"Pineapple juice" を短縮したカタカナ語だということをすっかり忘れていたのでした。パインジュースだと「松のジュース」になってしまって漢方薬のよう。
まったく通じないということはありませんが、紛らわしい飲み物の名前は、ミルクティー、レモンティーそしてアイスコーヒー。これはそれぞれ"Tea with milk"、"Tea with lemon"、アイスコーヒーが"Iced coffee"。アイスコーヒーは近年、 "Iced cafe latte"(ミルク入り)などがカナダでも人気なのでそのほうが分かりやすいようです。
写真を撮るのが趣味のTさんは、皆が食べて飲んで良い気分になり何かおもしろいことをしないかとシャッターチャンスを待ちます。「シャッターチャンスはいつもパーティーの後半にある」というTさん、でも「シャッターチャンス」はこれまたカタカナ英語。正しくは、"the perfect moment to take a picture"です。
ビールを飲んでリラックスし、普段会社ではすることのないゴシップ話に盛り上がるジョンとTさん。Tさんは二人の共通の知り合いであるマイクが、クリスマスパーティーの時に憧れの女性に告白したことをジョンに話しました。
Tさん: Mike is good looking and a feminist, but he is too naive to ask Judy
out for a dinner. At the Christmas party, he was showing Judy how to make
nice cocktails. Oh, he knows all kinds. He is an incredible mania. Anyway,
what surprised me more was…After most people left, he suddenly attacked
Judy.
ジョン: What!? You are kidding…"
ジョンは深刻な顔になってしまいました。
さて、Tさんはこういったつもりでした:
マイクはハンサムだし「女性にやさしい」。でも彼は「ナイーブ」だからジュディをディナーに誘うことなんてできないんだよね。クリスマスパーティーで彼はジュディにおいしいカクテルの作り方を教えてた。彼はいろんなカクテルを知ってる・・・それはともかくとして、もっと驚いたのは・・・ほとんどの人たちが帰ったあと、あいつ突然ジュディに「アタック(告白)したんだよ」
しかし、ジョンはこう理解しました:
マイクはハンサムで「男女同権主義者」だ。でもかれはジュディをディナーに誘うには「物事を知らないし洗練されていない」からダメなんだ。クリスマスパーティーで彼はジュディにおいしいカクテルの作り方を教えてた。彼はいろんなカクテルを知ってる・・・。それはともかくとして、もっと驚いたのは皆が帰ったあと、あいつは突然ジュディを「襲った」んだよ。
feminist: 日本語では「女性にやさしい」という意味でも使われています。英語は、「男女同権主義者」、思想的、政治的響きのある言葉です。"kind
to women" "nice to women" と表現するのが無難です。
naive: 日本語でナイーブというと「純粋で恥ずかしがり」というような意味で使うことがよくありますが、英語ではもっとネガティブな響きがあります。「経験が無い」、「洗練されてない」、「無知」等。Tさんの話では、"shy"という表現を使うのが妥当です。
Attack(ed): 「彼女にアタックする」というのは「デートに誘う、告白する」というように使われますが、英語では、そのままの意味で「襲う、攻撃する」となってしまいます。彼女をデートに誘うという表現は"ask her out"。
人の性格や特徴を表現するカタカナ語は、たいへんな誤解を生むこともしばしば、本来の意味をしっかりチェックしておいたほうがよさそうです。
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