Who's Who Canada−著名カナダ人を知ろう

 

トロント市民自慢のハリウッドスター
マイク・マイヤーズ

Mike Myers
 



フリーランスライター 三藤あゆみ


ハリウッドスターの映画出演料というのは莫大な額である。俳優たちは高額順にA、B、C・・・とランク分けされていて、"A"は一作の出演料が2000万ドル以上の俳優だ。これは必ずしも名演技を見せるからではなく、どれだけ客を呼べるかの価値である。その中にはハリソン・フォードやトム・クルーズ、シルベスタ−・スタローンなどがいるが、トロント出身のコメディ俳優マイク・マイヤーズも、Aランク俳優に仲間入りした。自作自演の映画「オースティン・パワーズ:ゴールドメンバー」の出演料はなんと2500万ドル。

トロント出身のAランク俳優は他にジム・キャリー(「マスク」他)やキアヌ・リーブス(「マトリックス」他)などがいるが、地元で一番愛されているのはマイク・マイヤーズのようだ。彼の世界的な活躍と栄誉をたたえ、トロント市はマイヤーズに"トロント市の鍵"(勲章のようなもの)を贈呈した上、マイク・マイヤーズ・ドライブという名の道までできた。

マイヤーズは1963年、スコットランド系の両親のもとスカボロで生まれる。父親はカナダ移住前には英国軍でシェフをしており、母親は女優だった。トロント郊外の典型的な家庭だったが、子供の頃から父と共にモンティ・パイソンなどのイギリスのコメディや映画を多く見て育った。小学校の頃からパフォーマンスをして人を笑わせるのが好きで、テレビコマーシャル等にも出演していたという。スカボロのStephen Leacock高校卒業後、トロントダウンタウンにある有名なコメディシアター、セカンドシティのオーディションに受かり、本格的にプロを目指すことになる。

セカンドシティのショーに出演するうちに、やはりカナダ出身でアメリカでも活躍している先輩のマーティン・ショートの目にとまり、高視聴率を誇るアメリカのテレビ番組「サタデーナイトライブ」にレギュラー出演するようになった。マイク・マイヤーズを大ブレイクさせた映画「ウェインズワールド」を見た方はご存知だと思うが、マイヤーズが演じる主人公ウェインは「サタデーナイトライブ」でのキャラクターが元になっている。

映画「ウェインズワールド」は脚本もマイヤーによるものだが、登場人物の多くはトロントやスカボロでの高校時代のクラスメイトや卒業後も仲のよかった友人たちがモデルになっているそうだ。この映画に出てくるセリフは、90年代前半に北米の若者流行語をたくさん生み出し、ポップカルチャーの歴史に残る作品となった。その頃、英語圏で流行った「We are not worthy!」「She is beautiful…NOT」などの冗談まじりのフレーズも「ウェインズワールド」からきている。

しかし、「ウェインズワールド」が世界的にヒットした時、マイクのユーモアセンスに一番影響を与え、彼のキャリアを心から応援していた父親は、アルツハイマーが悪化してマイクが自分の息子だということさえ分からなくなっていた。活躍する姿を父にいちばん見てもらいたかったマイヤーにとってそれはかなりのショックだった。その上、三人兄弟のうちの一人を交通事故で失ったため、鬱症状がひどくなり、「ウェインズワールド」のパート2を大ヒットさせた後は、しばらく映画界から姿を消してしまった。

彼が再び業界に復帰しAランク俳優の座を手にしたきっかけは、日本でも大人気だった「オースティン・パワーズ」シリーズである。最近では子供向けCGアニメ「シュレック」の主人公の声でよく知られる。 どんなに有名になっても、故郷トロントへの愛着をマスコミ相手に示すのを忘れないというのが、地元市民がマイヤーを誇りに思う理由のひとつだろう。今でもアメリカのテレビ出演の時に、トロントメープルリーフスの帽子をかぶって登場したりする。 ちなみに、マイク・マイヤーズ・ドライブはローレンスアベニューとケネディロードの交差点近くにある。観光地でも何でもない場所だが、マイヤーズファンがわざわざストリート名表示を記念撮影しにくるらしい。







≪著者プロフィール≫
三藤あゆみ
フリーランスライター/翻訳家、映像プロダクション通訳。日本の高校卒業後イギリスへ渡り、後にトロントに移住。埼玉県生まれ。
 

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