Mannma Mia !  新登場 女性コーナー




「あなたに魔法を」
柴田 寿美子


今、私の手首に夏らしいデザインのビーズのブレスレットがキラキラ光っています。日本では、もうずいぶん前から流行っていたそうですね。

しかし、私の中では今がブームです。そんなビーズの魔法を私にかけたのは、補習校に通う子供を通じて知り合ったSさんでした。保護者向けに開放されている教室で、子供の授業が終わるまでの時間を待っている時Sさんに「ビーズやってみませんか?」と気軽に声をかけてもらい、恐る恐る教わり、初めて作ったのは指輪でした。

それからもう止まりません。翌週には材料を買い揃え、食事の支度も後回し。しかし不思議と家族の苦情はありません。キムチブームの時もピザブームの時も、逆に家族は喜んでくれました。やはり、以前の私を知っているからでしょうね。

トロントからハイウェイ401を西に150キロほど行った所に我が街グエルフがあります。会社命令でここへ来た6年前、私は、最近よく言う「ひきこもり」でした。今の私を知る友人は信じられない事だと皆さん口を揃えて言います。突然の海外転勤に何の準備も無く"どうにかなるさ気分"で海を越えて来たものの、考えの甘さに家族全員が苦しむ事となりました。言葉の壁、文化の違い、子供の教育、見慣れぬ全て、戸惑う毎日・・・ 皆さんはそんなことありませんでしたか?日本人恋しさに、もっと都会へ引っ越したいと思っていた頃もありました。そんな私にある日、転機が訪れました。

グエルフ ダウンタウンのギフトショップで、偶然、Hさんと知り合ったのです。知り合ったその日に電話番号を交換したものの、電話をかけるまで 4ヵ月も経ってしまいました。ここに住む日本人は日本人を避けたいのではないか、と思っていたからです。でも実際自分も生活してみて分かったのは、ここに生活する日本人は日本人が好きなんですね。電話をしてから度々お茶や食事にお誘いして頂いたり、グエルフを案内してくれたり、グエルフで日本の食材を手に入れる手段やここの食材を使ったお料理なども教えて下さいました。カナダ生活の常識なども教えて頂きました。その彼女の温かい気配りで私は外へ出るようになったのです。そして、言葉の壁を無くそうとESLへ通いはじめ、日本人以外の国の人とも 仲良くなりました、日本人ばかりに拘っていた自分に気付いたのもこの頃です。国籍に限らず、皆同じ思いなんだな・・・と知りました。

未だ言葉の壁や戸惑いも毎日続いておりますが、それが苦では無くなりました。どうせここに居なければならないのなら、カナダライフを自分なりに楽しんじゃおう!と思うようになったのですそうなると、持ち前の性格が表れ、今の私に至っております。

何かに夢中になる時、一人で楽しむより皆で楽しみたいと、友人を自宅へ招き、パーティー気分でキムチやピザを作りました。今では教えた私より友人の方が上手にキムチを作ります。家族同士のお付き合いもあり、子供達も楽しみにしています。特にグエルフは少ない日本人同士なのでとても皆さん仲が良くて集ったり、助け合ったりしているんですよ。

ある日、Sさんにビーズの手ほどきを受けながらお互いの昔の苦労話に花が咲き、彼女がこんなに周りの人に親切な理由が良く分かりました。 彼女も以前は大変な思いをして来られたのです。だから親切になれるのですね。私もSさんやHさん、そして私の周りの素敵な友人に魔法をかけてもらったように今度は私が他の誰かに魔法をかけてあげたいです。

とり合えず始めに、お茶でも頂きながらビーズを御一緒に作りませんか?



戻る