リレー随筆

Mr. Namba 

10年間のカナダ生活

Nichirin Inc. 難波 宏成


私は '96年に日本の親会社よりカナダへ赴任してきまして、今年で10年目となりました。キリの良いこの年、3月に帰任の辞令を受けており、カナダでの生活も残すところわずかとなっております。 この10年間を思い出しながら、勝手なことを書かせて頂きます。

1. 英語が分からない。

私の場合、親会社でも海外との結びつきのあるような業務をしておりませんでした。'96年、27歳で結婚した私は、その年、総務部長より「カナダへ新婚旅行に行ってくれないか」と言われました。総務部長とは仕事の話はせず、これまで行った旅行の話ばかりをしました。

きっと上手く策略にかかったと思われたでしょう。任期も聞かずに日本を出てきてしまったのですが、やはり厳しい現実が立ちはだかりました。英語が分からないということです。しかし、最初の1、2年は会社に行くのが非常に憂鬱で、ここの仕事は3年で限界だと思っていたところ、その3年目は全く意識することなく過ぎ去ってしまいました。石の上にも3年とはよくいったものです。

2. インターネット、E-mail の設定が分からない。

'97年くらいからFax ではなくE-mail が主流になりました。仕事もそうですが、生活においてもそうです。当社の日本人赴任者のあいだで、「これは若い人に任せよう」ということになりました。当時は電話回線を使ってインターネットをするのですが、私の場合は英語が上記のような状況でしたから、これらの設定が苦痛でした。もちろんプロバイダが行っている電話サポートがあったのですが、まず向こうが何を言っているのかを理解するのも大変ですし、こちらは日本語のソフトウェアを使用しているのでどういうエラーメッセージが出たか説明するのも大変でした。何度も解決できないまま電話を切らねばなりませんでした。今でも面倒なことが多いですが、導入期は本当に苦労しました。若い人はパソコンに詳しい・・・これは私にとって大きなプレッシャーでした。

3. ゴルフが苦痛?

カナダにおける日本人間の交流においてはゴルフが非常に大事です。カナダの冬は長く春が来るのが待ち遠しい反面、春になるとゴルフをしなければならない=「みんなに迷惑をかけないようにせねばならない」。そのことが憂鬱に感じることが多くありました。こう思われる方も私だけではないはず。スコアが上がらないまま毎年過ぎていってしまうのですが、秋になる頃にはもう1回できないか?去年は11月中旬まで回れたが、今年はどうなんだろう?という話になってしまいます。日本では、そうゴルフは出来ないので、苦痛でもあり、楽しみでもあったゴルフはいい思い出です。

4.  9・11 NY同時多発テロ事件、SARS、北米大停電等
安全と言われるカナダでも、危険を感じた時がありました。それは'01年に起きた9・11 NY同時多発テロ事件でした。あの事件直後、次はどこが狙われるのか?という憶測が流れましたし、その後のアメリカへの出張も大変でした。持ち物検査が厳しくなり、空港には銃を持った警備員がおり、海外で働いていることを実感しました。

'03年 SARSの流行がありました。香港、中国が主な発生地となった病気なのですが、何故トロントでも流行したのかということについて日本にいる方に何度か説明してあげたことがありました。そして、これも'03年なのですが、北米大停電というのがありました。何故このようなことになったのか、この地域での発電能力オーバーという話もありましたし、オハイオ州で送電線を管理する会社で起きた人為的ミスかも知れないという話もありましたが、結局何が原因で起きたか分かる人おられますでしょうか?最後はうやむやになってしまいました。正直言いますと、10年間のカナダの生活でこれ以外の大きな事件を思い出せないのです。カナダは本当に安全な国なのかもしれません。

5. 日本がこわい。

赴任当初は帰任を夢にまで見ていましたが、最近は自分の中に「日本がこわい」という妙な気持ちが芽生えていることに気づきます。小さな子供をお持ちの方の場合、日本では外で子供を遊ばせるのが恐いと考えられるでしょう。私にも5歳の息子がいます。私が帰国して住む学区では昨年2度の切り裂き魔事件(カッターナイフで女子中学生の制服に切りつけたらしい)が起こっており、それを機にその地域の幼稚園、小学校、中学校では警備員を配員しているとのこと、いやな時代になりました。

日本では電気製品もこの10年で相当に発達しました。私は携帯は電話をするものと思っているのに、カメラはもちろんテレビまでついているとのこと。しかも携帯でコンビニの支払いができるとのこと。どうやって使うのでしょうか?

洗濯機に乾燥機がついているとのこと(これは便利かも)。ご年輩の方はビデオの録画予約ができないと言われることがありますが、私は37歳にして同じ状態になっていると思います。日本に帰って電気屋に行くと、きっと驚きの連続になると思います。最後に日本に久しぶりに帰国すると人付き合いがおっくうだという意見をよく聞きます。会社での人付き合い、親戚との人付き合い、冠婚葬祭等、私もこれから学ばねばならないことがたくさんあります。私の実家では4月に法事をやりたいと言っています。どんな準備が必要なのか?全くわからない状態です。

住めば都とはよく言いますが、本当に私達家族にとってカナダは住みやすい国となりました。仕事をするにも、生活をするにも、勉強をするにも、育児をするのも日本よりも環境がいいのではないかと思います。 特に今年のように暖かい冬が続くなら、いつまでもカナダでいいかな?

新たにカナダに赴任された皆さんも、精一杯カナダをエンジョイしていい思い出をたくさん作ってください。

次回の随筆は、阪急交通社の沖浦さんにお願い致しました。宜しくお願いします。




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