ミニシリーズ


ミニシリーズ第1弾
もっと充実、カナダのゴルフ

York University, Schulich School of Business
Master of Business Administration
鈴木 信次

『とりりあむ』では、新しい企画として今後数回にわたり、皆様のご関心の高い様々な分野での専門家によるアドバイスや、その道の醍醐味、面白さなどを紹介していきます。役立つ情報満載のこのミニシリーズをカナダ生活をより充実させるためにご活用ください。

まず初回は会員の皆様のご要望にお応えして、ゴルフについてです。執筆者はヨーク大学シューリック・ビジネススクール在学中の鈴木信次さん。日本の大学を卒業後、社会人になってからゴルフをはじめ、2000年にはカナダのプロツアーにも選手として出場した経験をお持ちのビジネスマンです。
 


初めて私がカナダに来たのは2000年4月。快晴のゴルフ日和の日だった事を思い出します。大学卒業後、4年間ゴルフ関連のベンチャー企業に勤めた後、思い立って無謀にもカナダのプロゴルフツアーに挑戦しました。B.C州.のKamloops、Dunes Golf Club で行われたQualifying Schoolに2度、そしてカナダのプロのツアー4試合に挑戦しましたが、いずれも撃沈されました。しかし今となっては、一生の思い出となっており、こうした機会を与えてくれたカナダ、そして今またビジネスを学ぶ機会を与えてくれたカナダに感謝しております。

ゴルフ上達法
よく聞かれるゴルフに関する質問は、「どうすればすぐに上手くなる?」というものです。答えは、「ありません」ではなく、「考え方を変えることによって可能」だと私は思っております。ここで私が逆に質問したいことは、それはスコアなのか?それともゴルフスイングなのか?ということです。もちろん1、2ヶ月で上達する方法はありませんが、以下に述べることを実践していただければ、少なからず皆様のゴルフ上達の助けになるものと信じております。

スコア
ゴルフ場でスコアを良くする方法は、まず、「常識的に考えること」、が大変重要だと思います。たいていの方はコンペなどゴルフの前夜、スーパーショットやバーディーなどいろいろと夢見るものです。しかしながら何事も同じですが、夢と現実はかなり違うもので、私もいつも泣かされてきました。世界トッププレーでさえもパー5を除いてバーディーを狙ってとれるものではないですし、150ヤードも先からピンを"狙える"という人はまずいません。

では現実にどうするかといいますと、上級者の方は、常にミスしたときのケースを計算してショットしています。18ホールでトッププロでもナイスショットは2、3回しかないということです。これを驚かれる方がいますが、上手な方ほど、このミスの許容範囲が小さくなります。つまりある程度、スコアが予測でき、安定するのです。また上級者がグリーンを狙って外し、上手くリカバリーをする場面を時々見ると思いますが、それは、「外すべきところに外している」(寄せワン狙い)、場合が多いのです。

因みに、プロの平均パーオン率は65%強、つまり3回に1回はグリーンをはずす訳ですから、それにあらかじめどう対応するか考えることが極めて大切です。タイガーウッズでさえ、相当の常識者であり、最終日などの勝負に出るとき以外は、常に安全にコースを攻めています。一般のゴルファーにとって難しいと思うことは、タイガーウッズでも難しいのです。タイガーウッズが、べたピンショットをしても不満な態度を示すことが良くありますが、これは「ナイス"ミス"ショット」だからです。彼は常にピン位置に関係なくグリーンセンター、あるいはカップから平坦なグリーン上を狙って打っているそうです。これだとボギーになる確率はグンと下がります。よってまずは、バーディーよりも「ボギーを打たないゴルフ」、に徹しているのです。その結果、多くのバーディーをとる確率も高くなりますす。

このように考え方を変えるだけで、ずっとゴルフが楽しく、楽になってきます。ナイスショットほど嬉しいものはありませんが、いかにご自身のミスの許容範囲を少なくする、あるいは知ることを常日頃、考えてみるともっとスコアが良くなると信じています。それによってラッキーも増えると思います。ゴルフは、ミスとリスクのマネジメントゲームに他なりません。

最後に、カナダのゴルフ場は日本に比べて格段に平坦です。ティーからグリーンまでは日本のゴルフ場の方が、狭くてOBもたくさんあり難しい気がしますが、グリーン周りやグリーン上はカナダの方が難しいと思います。カナダツアーで、ほとんどの選手は、ショットよりも練習の7割以上をアプローチ、パターに費やしていたのには驚きました。プロの日本人選手を見ても本当にこちらのプロに負けず劣らず飛ばしますし、すばらしいのですが、グリーン周りの細かいところがやはり全体的にこちらの選手の方が上手い感じがします。1日1打のミスだと、4日間で4打差違いますから、試合では1打の重みを本当に感じました。

ケーススタディー (ハンディキャップ20の場合)
ハンディキャップ20の女性Aさん(飛距離160ヤード)を例に考えてみましょう。ハンディキャップ20ということで、この方は、ほぼボギー平均でラウンドするということになっています。予定通りにラウンドできれば、パー72で、90ということになります。つまり、パー4で3オン2パットの5でパーなのです。欲張らず、ボギーでパーという感覚があればAさんのスコアももっと安定するはずです。仮にAさんはアプローチが苦手だったとします。ここでAさんがまず考えることは、自分のミス、能力を考えて、グリーン周りが難しいホールなら、わざとグリーン横のやさしいところに外すか、パー4であれば最初から3オン狙いでプレーする手もあります。パー(=ボギー)を拾える確率もグンと上がるでしょう。またナイスショットが出れば、ナイス"ミス"オン、ということも考えられますね。ゴルフはメンタルなスポーツでもあります。考え方が大きく変わるとまた楽しいものになるでしょう。


スイング
これが一番厄介で、難しいこととは周知の事実ですが、私なりにその考え方の基本について述べていきたいと思います。まずゴルフの基本は、しっかりとした土台、足を有効に使うことが最も重要だと思います。足をくねくね動かすという意味ではありません。シンプルであることが重要です。異論反論はあると思いますが、これが一番の上達の近道です。"足を使う?"っていったい何なの?とお思いの方も多いかともいます。しかしこれがショットの方向、飛距離、繰り返しの効くスイングの源であり、すべてのツアープロにとっては必要不可欠なことです。

私は常々、足はエンジン、胴体はボディーだと思っています。手はというとこれはゴルフクラブと肩の連結部でしかありません。この手を使えば使うほど、スイングまたボールの正確性は弱まります。ムチのようにしならせるという方もいらっしゃるかもしれませんが、これではボールがどこに飛ぶか分かりません。ゴルフスイングには遠心力、重力が働き、その抵抗に対して人の手と腕の力は、恐ろしく弱いものです。従って手打ちでは、毎回スイングが異なるばかりか、常に練習しなければ維持は不可能です。

スイングロボットを考えてみると分かりやすいと思いますが、その設計は、手の部分を使えないようになっています。体の足から伝わる胴体の"軸"の"回転"とひねり(左わき腹のひねり)でボールを真っ直ぐ遠くに飛ばすのです。"上体をリラックスして打つように"といわれるのはこのためです。力が入っていると体をひねることができないばかりか、手と腕を多用する原因にもなります。意外と思われるかもしれませんが、俊足の人に飛ばし屋が多いとご存知でしたか?走るときも筋肉のひねりで瞬発力を高めるのです。力は不要です。

しかしながらここに問題があります。それは、この打ち方だと全く飛ばない感じがするのです。なぜかと言いますと、それは常日ごろ、手で打つのに慣れていることに原因があります。手が使えないということは、体のどこかでボールを飛ばすパワーとスピード(=回転)をつけなくてはなりません。それが足(回転を起こすエンジン)を使い、上体のひねりで飛ばすということです。これはご心配なく。知らず知らずのうちに人はスイングにおいて少なからず足を使っている"はず"です。いすに座ってボールを飛ばしてみてください。何人の方がボールをスライスさせないで150ヤード飛ばせるでしょうか?これが足でボールを打つという意味の理解の最初の一歩です。一般の方のスライスの原因は、ほぼ100%手打ちから来るものです。

あの有名なベン・ホーガンが、「すべての健常者は80を切れる能力がある」、と言っています。私も、足を使って打つ感覚を養うことができれば、女性、熟年を問わず、80までは行かなくとも、少なくとも一度は85を切る能力はどなたにでも存在すると信じています。そのためにどうすればよいか、次回は、スイングに関する練習方法やその考え方などをご紹介致します。







≪著者プロフィール≫
York University, Schulich School of Business、Master of Business Administration
鈴木 信次(すずき しんじ)
初めてカナダに来たのは2004年4月。日本の大学卒業後、4年間ゴルフ関連のベンチャー企業に勤務した後、カナダのプロゴルフツアーに挑戦し出場。その後日本で外資小売店に2年間勤務し、2004年6月ヨーク大学シューリック・スクールオブビジネスMBA(経営管理学修士課程)に入学。2年間の修士課程もあと企業コンサルティングレポートのプロジェクトを残すのみで10月に卒業予定です。今後は、これまでに培ったコミュニケーション、あるいはマーケティングスキルを活かした仕事をカナダでも続けて行きたいと考えております。

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