Who's Who Canada−著名カナダ人を知ろう



キングコングの手の中で「キャーキャー」叫び
一躍有名になった女優
フェイ・レイ(Fay Wray)


Fey Wray


フリーランスライター 三藤あゆみ


今年になって、カナダ出身の故ハリウッドスターが印刷された切手がいくつか発売されている。その中の一人フェイ・レイは、アメリカ映画の黄金時代と呼ばれるハリウッド全盛期の1930年代に、パラマウント映画の看板女優であった。

フェイ・レイという名前だけを聞いてピンとこない人がいても、30年代に撮影された『キングコング』でキングコングが恋をした美女、といえばたいがいの人はピンとくるであろう。キングコングの手の中で「キャーキャー」と叫びまくるだけで重要な台詞もあまりない役だったが、これがアルバータ出身の女優フェイ・レイを一躍有名にした。

彼女はカナダ出身といっても3才で家族と共にアメリカに移住しているのだが、2004年に老衰で亡くなるまで、つねに「カナダ人」であるというのを強調していた。フェイ・レイは、1907年9月、アルバータ州のカードストンの牧場を経営する両親のもとに生まれた。アルバータにいた頃は幸せな幼少時代をすごしたらしく、大人になってからもそれは記憶に残っており「アルバータからアリゾナへ引越した時は、夢の国を後にしたような感じがした」と自叙伝に書いている。

後にユタに移ってからは、両親が別れたために貧しい生活をおくることになる。また、第1次世界大戦の頃流行したインフルエンザで、6人きょうだいの中でも一番仲の良かった姉を亡くし、つらい時期を過ごした。

映画デビューは16歳の時。サイレント映画の『ガソリンラブ』というコメディーだった。彼女がハリウッドスターの仲間入りをしたのは、1926年、『結婚行進曲(The Wedding March)』に主演してからである。オーストリアの王子様と恋に落ちるブルジョアのお嬢さんの役だった。『結婚行進曲』では、監督のお墨付きでセクシーで美しく演技もうまい女優といわれたが、その数年後に出演した『キングコング』での「キャーキャー」叫んでいるだけの役のほうが、フェイの名を世界に知らしめることになる。叫びで有名になったフェイ・レイは、30年代にはスリラーやホラー映画に多く出演するようになった。『透明人間』なども彼女が出演したヒット昨のひとつだ。

キャリアのほうでは大成功した彼女だが、私生活のほうははあまりついていなかったようだ。両親の離婚でティーンエージャーの頃から苦労していた。また、最初の結婚相手、脚本家のジョン・モンク・ソーンダースとは、テニスコート付きのお屋敷に住み派手な生活をおくっていたが、離婚。その1年半後にはソーンダースが自殺してしまう。二度目の結婚相手は、フランク・キャプラの映画などで有名な脚本家のロバート・リスキン。しばらく幸せに暮らしていたのだが、リスキンが病気になり死別することになる。

フェイ・レイは、年をとってからもアカデミー賞の受賞式にゲスト出演したり、本を出版したりしてスポットライトを浴び続け、2年前、ニューヨークの自宅で眠るように息をひきとったと報道された。96歳だった。アルバータ州のカードストンには、フェイ・レイのモニュメントである噴水が建てられている。






≪著者プロフィール≫
三藤あゆみ
フリーランスライター/翻訳家、映像プロダクション通訳。日本の高校卒業後イギリスへ渡り、後にトロントに移住。埼玉県生まれ。

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