
What's going on in Toronto
ティーンエージャーをギャンブルの魔の手から守れ!?
フリーランスライター 三藤あゆみ
ギャンブル常習癖を防ぐことを目的とするオンタリオ州の非営利団体「Responsible Gambling Council of Ontario」が行った調査で、「オンタリオ州のティーンエージャーの約3分の1がギャンブルをしたことがある」という結果が出た。地元メディアはこのニュースをたいへんショックな様子でとりあげている。
オンタリオ在住の15〜17歳の子供たち約2100人を対象にアンケートをとったところ、回答者の35%がギャンブルを体験していた。そのうちの40%が、「一番よくプレイするのはポーカー」と答え、続いて、バラエティストアなどでロタリーチケット等を買う36%、スポーツギャンブルが23%だったそう。
ティーンエージャーたちに人気のポーカーは、主にビデオゲームのマシン。ドーナツ屋やゲームセンターなどいたるところにあり、インターネットでもプレイできるので誰でも手をつけやすい。
また、今回の調査結果では、ディーンエージャーたちがギャンブルをする二大理由として、「お金がほしいから」(27%)、「前回負けた分をとりかえすため」(15.3%)というのがあげられていた。
宝くじにもカジノにも投資しているオンタリオ・ロッタリー・ゲーミング公社(Ontario Lottery and Gaming Corporation) は、あくまでも市民が楽しく遊べるエンターテインメント施設という線をこえないように、必死で気をつかってきている。
しかし、たとえばカジノの客層は、若者から家族連れ、デート中のカップル、主婦のグループ、おじいさん、おばあさん、ビジネスマンと幅広い。大人たちと一緒にギャンブルに出かけない子供でも、「XXドル勝った!」「負けた分をとりかえすぞ」などという会話を耳にする機会は普段いくらでもあるので、賭け事に興味をもたせないようにするのはかなり難しいようだ。
カジノラマやナイアガラなどの観光地以外にある、オンタリオ州営のカジノは、たいていマシンのみの施設だが、ビデオポーカーやブラックジャックが大人気。ティーンエージャーたちのトレンドも同じである。
さて、カナダ国民の多くは「みんながシアワセに健康に暮らせるように取り計らうのは、当然政府の仕事である」と思っていて、そういう考え方はギャンブルビジネスにも影響している。
政府は「ギャンブルの適度な楽しみ方」や、「習慣にならないようにする対策方法」を書いたパンフレットを20カ国語で用意している(残念ながら日本語はない)。そして、ギャンブルで身をほろぼしそうな人や、その家族・友人はいつでもホットラインに電話したり面接の予約を入れたりして相談にのってもらえるようになっている。生活に困る事態になったからといって借金や大負けしたお金を政府が返してくれるわけではないが、家族が相談に行くといろいろな対策方法を教えてくれるプロのカウンセラーがいる。もちろん無料だ。
カジノのスロットマシーンのすぐ横や、宝くじ売り場に「ギャンブルが習慣にならないようにする方法」とか、「ギャンブル中毒ホットライン--はまりすぎ た人はこの電話番号へ」などと書かれたパンフレットが置かれている、というカナダらしい光景が、トロント各地でもみられる。
しかし、ギャンブル人口のほうは年々増加し、2004〜2005年は23億カナダドル相当のチケットが売れ、カジノのほうでは2005年は約16億カナダドルの売り上げがあったという。
今回のように、ティーンエージャーの3分の1がギャンブル体験となると、当然「それは政府や学校の責任、対策をたてろ!」という方向にいくのがお決まりのパターン。Responsible Gambling Council of Ontarioは、今回、どんな対策案を発表するのだろうか。
トロント市内の一部の高校や大学の校舎内のトイレのドアには、すでに「ギャンブル中毒ホットライン」のポスターが貼られはじめているが・・・。
≪著者プロフィール≫
三藤あゆみ
フリーランスライター/翻訳家。日本の高校卒業後イギリスへ渡り、後にトロントに移住。トロント大学卒(心理学、東アジア学専攻)。埼玉県生まれ。
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