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12歳で開かれたスターへの道
フランス系カナダの生んだ国際的ポップスター

セリーヌ・ディオン(Celine Dion)

Celine Dion


フリーランスライター 三藤あゆみ


セリーヌ・ディオンは、1968年、ケベック州のシャルルマーニュという小さな町で、ピアノバーを経営するフォークミュージシャンの両親のもとに生まれた。14人の兄弟姉妹の末っ子である。裕福な家庭ではなかったが、家族の絆は固く子供たちは愛情をたっぷり注がれて育つ。

ディオン一家は音楽を愛し、セリーヌもわずか5歳のときから両親のバーでお客さんを前にして歌っていたそうだ。その頃、ジネッテ・レノという女性シンガーソングライターが、フランス系カナダで一番の売れっ子だった。もちろんディオン家のバーにも彼女のレコードが揃っていたのだが、セリーヌの才能を確信していた兄と母は、ジネッテ・レノのレコードジャケットに印刷されていたルネ・アンジェリルというマネージャー宛にセリーヌの歌を録音したデモテープを送りつけたのである。セリーヌ・ディオンが12歳のときである。

しかし、有名人のマネージャーでプロデューサーでもある多忙なアンジェリル氏は、名もないアマチュアミュージシャンから送られてきたデモテープに見向きもしなかった。

何週間たっても一向に連絡がないので、セリーヌの兄ミッシェルは、アンジェリル氏の事務所へ電話をかける。やっと電話口につかまえたアンジェリル氏に対し、ミッシェルは「デモテープを送ったのですが、もちろん聞いていないですよね。わかってます。だって、もし聞いていたら、その場でうちに電話してくるはずですから・・・」と言い切ったとか。

そんなに言うならとアンジェリル氏はオフィスの机のどこかに埋もれてしまったテープの包みを探し出して、その少女の歌声を聴いてみる。そして・・・兄ミッシェルの言ったとおり、彼はその日のうちにディオン家に電話をかけてきたのだった。

このアンジェリル氏が、セリーヌ・ディオンを世界的な歌手に育てあげたプロデューサーであり、彼女の現在の夫でもある(1999年に結婚)。

さて、事務所に呼ばれた12歳のセリーヌは、そこで歌を披露することになる。アンジェリル氏は感動してか興奮してか、彼女のパフォーマンスを見て涙を流したという。

セリーヌの才能を認めたアンジェリル氏は、自分の家を抵当にいれて資金を調達し、彼女のアルバムを2つ制作する。セリーヌのフレンチシンガーとしてのこのデビュー作は、カナダのフランス語圏で大ヒット、後にフランスでも賞をとったほか、1982年には日本のヤマハ世界歌謡祭に出場しゴールドメダルを受賞することになる。

18歳になったセリーヌは、マイケル・ジャクソンをテレビで見て「私も彼みたいな大スターになりたい」と、アンジェリル氏に言ったそうだ。そんな彼女にアンジェリル氏は、「それでは、今から歌手としての活動を一時休止して、語学学校で英語を勉強し、エクササイズをしてカラダ作りをし、歯も矯正してきれいにすること」と言い渡す。

セリーヌは言われた通りに、語学学校で英語の特訓をはじめた。会話、発音、読み書きと、毎日8時間は勉強についやしたという。そして、当時テレビや雑誌で笑いものにされていた大きな八重歯を抜き歯並びを直し、髪も流行のショートヘアにして垢抜けたイメージに変身。仕事はせずに、アメリカデビューのための準備に全力を尽くした1年半だった。

そして1990年、アメリカで初リリースのアルバムが売れ、つづいてディズニーの『美女と野獣』の主題歌をピーボ・ブライソンとデュエットして大成功を遂げる。しかし、なんといってもセリーヌ・ディオンの歌として一番知られているのは映画『タイタニック』の主題歌である。

日本では、フジテレビのドラマ『恋人よ』の主題歌に使われた『To Love You More』が洋楽では近年最高のヒットとなった。

グラミー賞、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、カナダのジュノー賞などを受賞し、全世界でのCDやテープのセールスは1億5千万枚を超える。ロサンゼルスのThe Hollywood Walk of Fameにも名前が彫られたセリーヌ・ディオン、フランス系カナダの生んだ国際的スターである。






≪著者プロフィール≫
三藤あゆみ
フリーランスライター/翻訳家。日本の高校卒業後イギリスへ渡り、後にトロントに移住。トロント大学卒(心理学、東アジア学専攻)。埼玉県生まれ。
 

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