Born In Canada ―カナダのこんな会社



マウンテン・エクイップメント・コオペレーティブ

−セールのないアウトドア専門店−




 日本貿易振興機構(ジェトロ)トロントセンター
樽谷範哉

街がクリスマス色に染まり人々が賑わうボクシング・デー。安い服や雑貨を求めて、トロントの銀座「ブロア・ストリート」にある店に入ってびっくり、先月買ったばかりのコートがなんと7割引。せっかくの楽しいショッピングが、何か騙された気分になる。そんな経験はありませんか?

ルルレモン・アステティカ、ルーツ・カナダなどカナダを代表するブランドショップがボクシングセールで賑わう中、いつもと変わらない値段の店がキング・ストリートにあります。全国主要都市に11店舗を持つアウトドア用品専門店「マウンテン・エクイップメント」です。但しこの店でお買い物をする為には、5カナダドルを支払い生涯会員になる必要があります。何故、こんなに面倒なシステムを取っているのでしょうか?


実はこの店、普通の企業とは少し違います。マウンテン・エクイップメントは、1971年、厳しい風が吹き荒れる山岳地帯のテントの中で数名の学生によって発案されました。学生達はロープやテント、寝袋などが手に入るアウトドア用品ネットワークが必要だと考えたのです。アウトドアを安全に楽しむための商品・サービスを提供することを目的としていたため、会社ではなく協同組合として設立されました。利益を追求することが目的ではないので、セールもないし、いつも最低価格で購入ができます。但し、あくまで協同組合なので購入には組合員になる必要がある訳です。

会員になると、マウンテン・エクイップメント独特のサービスが受けられます。例えば、湖でカヌー遊びをしたくなったとします。カヌーの経験がなくても大丈夫、店では懇切丁寧に教えてくれるばかりか、ワークショップやセミナーも開催されています。カヤックを購入するのは少し高いと思ったら、1日からレンタルすることができます。もし同商品を購入したくなったら1日分のレンタル料金を差し引いた金額で購入することができます。もし数年後カヤックに飽きたら、インターネット上でリサイクルするか会員同士で交換してみましょう。

もしも新しい商品が必要と思ったら。マウンテン・エクイップメントでは、会員はお客であると同時にオーナーでもあります。商品のアイデアを伝えることも、代表者を選ぶことも可能です。またアウトドア活動で美しい風景に遭遇したなら、写真を取って本社に送ってみることをお薦めします。マウンテン・エクイップメントの広告(カタログ、ホームページ)に名前付きで利用されます。

こうして自然を愛する多くのカナダ人によって支えられてきたマウンテン・エクイップメントは、いまや約230万人の会員をかかえるカナダ最大の協同組合に成長しました。

−If you need it today, you can buy it today.

商品を公正な価格で買いたいときに買える。今後も世界最大級の協同組合として、消費者の視点にたった商品とサービスが提供されることでしょう。


≪著者プロフィール≫
樽谷範哉
日本貿易振興機構(ジェトロ)トロントセンター勤務。カナダ経済・産業情報の収集やカナダ企業への対日ビジネス支援を行っています。ご質問がございましたら何なりとお申し付けください。 Noriya_Tarutani@jetro.go.jp

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