カナダ医療体験談


その1 メディカルチェック フン闘記



三菱電機カナダ 佐藤 高




こんな体験は私だけでしょうか・・・。

ホームドクターが見つからない

新天地での海外赴任という面倒臭さと、不安の入り混じった一種の強迫観念に悩みながら、ずるずる引き延ばしにしてきたのが年1回のメディカルチェック。
55歳を超え、その必要性は重々承知するもついつい放念というか無視して来たが、本社からのしつこいメールで重い腰を上げたのが、赴任後10カ月が過ぎた今年の1月末。

当社の場合は海外拠点毎の受診遂行状況が定期的に公表される上に、北米駐在の人事担当者が遂行率100%到達を目指し必死にフォローする仕掛けになっている。

さて、覚悟はしたものの、いざ実行に移す段になって困った。
どこの医療機関に御願いすべきか皆目わからない。

現地社員や駐在諸兄に確認した所、ホームドクターにお願いするのが通常と言うことがわかったが、誰も自分のホームドクターを紹介してくれない。
止む無く『とりりあむ』の生活リンク集にあった『グリーンページ』を検索しZip (Postal)Codeを入れDoctor Searchを試みた。

結果は新規患者受け入可能Physician名が7件リストアップされた。医者のプロファイルを見て、 「さあーこれで決まりだ」そして「実はホームドクターを探しています。お宅のドクターは新規の患者を受けてくれますか」と電話攻勢をかけたところ、「今一杯です」「3カ月のウェイティングです」「今はとっていません」・・・等々で“ダメ”との返事。

ホームドクターが見つからない。
「このままではメディカルチェックを受けられなくなるのか??? それは困る」
「また、五月蝿(うるさ)いメールに悩まされるのはゴメンだ」

一旦断られた医者に再度電話し「メディカルチェックを受けたい。そのための病院は知らないか」と質問した所Medisysなる医療機関を紹介してくれた。現金なことに、受診できるよう名前だけなら貸すとの不可解な話。いずれにせよ、これでようやくメディカルチェックが受けられることになった。

偶然なのか、3月の地元新聞『Toronto Star』に“Only one in 10 doctors taking new patients” という記事が一面トップに掲載されたのだ。要は“オンタリオ州の医者は10人に一人しか新しい患者をとらない”という社会問題が取り上げられたのである。誰もホームドクターを紹介してくれなかった理由がこれで納得できた。



結腸内視鏡検査 −準備に下剤4リットル!?

紹介されたMedisysでの検査は、短パンTシャツという出立で、すこぶる快適に進行。二時間ほど経過後、「これで終わり」と言われた。

「待てよ!未だやったことのない結腸内視鏡検査(Colonoscopy)が抜けている」。
案内書では50歳以上は ”Additional Testing”となっていた。

検査をお願いした所、他のクリニックでやってくれるということで、別の所に行くことになった。早速、予約されたClinicを訪問。ドクターと面談、私が日本人ということでか、日本製内視鏡の性能の素晴らしさについての講釈後、検査手順につき大雑把な説明を受けた。

検査日が確定し、クリニックの受付嬢から早口で詳細に書かれた説明書と記載内容につき説明を受けたが今一つすっきりしない。言われた内容をもう一度理解すべく辞書を引きつつ説明書に目を通した。

要は“Klean Prep”なる粉末を薬局で4袋購入し、検査前日、水に溶かし15分毎に250ccを飲まなければならない。一袋1リットル分を、合計4袋となっている。
何と合計4リットルになる。ビール小瓶が341ccであるから、約12本分に相当する量だ。
しかも15分毎ということは全部飲むには240分、4時間も飲み続けなければならないということだ。酒なら解るが、これはとてつもない拷問ではないか!?

前日の夕方から記念(?)すべき明日のための準備を開始。この上なく不快な味ということなので、まずは飲み易くするため冷たい水で溶かして飲み始めた。
1回目の250cc、2回目と問題なく行く・・・。味は何とも形容し難い甘さだ。

その内に予測はしていたが、例のものがもよおしてきた。急ぎトイレに直行だ。
15分は直ぐに来る。250ccを必死に飲むと同時にトイレ直行を繰り返す羽目になった。3回目も何とか克服したがやっと一袋、1リットル分が終わった。
でもまだ残り3袋、3リットルもある。5回目、6回目と苦行が続く。

一方、トイレ直行の方も忙しくなってきた。排泄物は固形から直ぐに液状に変わり徐々に色が変わっていく。4回目ぐらいで、綺麗な(?)透明色になってきた。もう水道の蛇口と同じだ。4時間をかけ遂に下剤4リットルを飲み干した。しかし下痢状態は最盛況で、
ヒリヒリして痛くなってくる。鼻の咬み過ぎと同じ症状だ。ウォッシュレットがあればこんな事には・・・?何とトイレ行脚は5~6分ごとの頻度で、回数は21回も続いた。

こうして、この苦行も終わり、検査当日。腹立たしさもあり、若いナース嬢に「Terribleな準備だったよ。君は経験したことあるのかね」。彼女はいとも簡単に「ええ、ありますよ!!」
ナース嬢も苦行体験済みと知って、戦友に逢った気分。それからはあられもない格好で、彼女にすんなりと従順。睡眠薬投与と共に全幅の信頼で眠りに入った。検査は数十分で無事終了。こうして年1回のメディカルチェックが無事(?) 終わったのだった。

『とりりあむ』では医療に関する皆さんの体験談を募集しています。貴重な体験をされた方、是非、広報委員の下名までご一報下さい。

 E-Mail: Takashi.Sato@mesca.mea.com



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