私のとっておきの店


Mikado Restaurant みかど


      -今宵、苦み走ったご主人が繰り出す

自家製プリンの甘さに 酔いしれてください-       

笹尾 剛 (在トロント日本国総領事館)




トロントに赴任して間もなく1年が過ぎようとしています。このコーナーの順番が回ってきて、さてどうしたものかと。何しろ私自身、このコーナーを参考に外食しているものですから、ここに紹介されていない店を私が紹介するのは至難の業です。

モザイク都市トロントだけにイタリアン、フレンチ、中華、韓国系等々、色々な国の本格的なレストランが数多くあります。そんな中、私が紹介するのは、ずばり日本食です。

その名も「Mikado Restaurant」実はこのお店、商工会の新年懇親会にもお食事券をご寄付いただいているお店なので、このページをご覧のほとんどの方がご存じのお店ではないかとも思うのですが、そんなことはお構いなしに私の紹介は続きます。まずはお店に行く前に、店名の「みかど」の意味から勉強しましょう。広辞苑によりますと、@門の尊敬語。A特に皇居の門。宮門。禁門。B皇居。皇宮。C朝廷。皇室。D天皇。E天皇が治める国土、とあります。うむむ、何とも重々しい名前。そう言われてから改めて店構えを見てみると、そんな風格が、そこはかとなく漂っているような気がしないでもありません。恐れ多くて店に入るのが憚られますが、そんなことは気にせずお店に入ってみましょう。

店に入るなりご主人の威勢のいい声が聞こえます。「へいらっしゃい」さあ、ここが重要です。「へい、いらっしゃい」ではありません。「い」の音が重なって「へいらっしゃい」です。これまた趣深い。日本への郷愁が誘われる瞬間です。一瞬、あれ、ここは日本だったっけ?との錯覚にとらわれるかもしれません。トロント市内外には日本食レストランが星の数ほどありますが、この「へいらっしゃい」が聞ける店はそう多くはありません。入店時には耳を澄まし、心してかかりましょう。万一、ご主人がカウンターを離れていて「へいらっしゃい」が聞けなかった場合は、迷うことなく翌日も行ってください。

さて、愛想の良いお姉さんに案内され席に座ります。すると程なくおしぼりが出てきます。嬉しいじゃありませんか、おしぼり。あなたがおじさんであれば、おもむろに広げて顔を拭きましょう。私の場合、ついでにメガネの鼻アテの部分も拭きます。遠慮はいりません。ここは日本だと開き直ってしまいましょう。

肝心のメニューを見てみます。その種類の豊富さに驚くことでしょう。寿司に始まり、トンカツ、カレー、うどん、そばに至るまで、ほとんどの日本食が食べられます。ご主人曰く、全て下ごしらえから手作りなんで準備が大変なんっすよ、とのこと。

そんな豊富なメニューの中、私がお薦めするのは、アペタイザーとして「カニクリームコロッケ」、メインに「鶏うどん」、デザートに「自家製プリン」です。

かにクリームコロッケは、サクッとした衣の中に、濃厚なベシャメルソース。ご主人はもともと洋食がご専門だそうで、この手の料理は得意中の得意。ご家庭の奥様も作るのが難しくて食卓にはなかなか出てこない。かといって突然食べたくなってもトロントのレストランで探すのはとても難しい一品ではないでしょうか。

次に鶏うどん。器の底の柄が見えるほど透き通った、関西風のだしがきいたつゆです。とても優しい味のうどんです。生涯最高のうどんにまさかカナダのトロントで巡り会えるとは思ってもみませんでした。もちろん、鶏肉も柔らかく言うことはありません。つゆはおごそかに飲み干したいものです。

最後に、自家製プリン。程良い甘さのカスタードプリンに、かすかに苦いカラメルソース。「懐かしいなぁ・・・」と思わず言ってしまうようなプリンです。プリンは若い子や女性が食べるものだから注文するのはちょっと恥ずかしい、と思っているおじさん方。遠慮はいりません、是非注文してみてください。先日、30代から50代のおじさん10人くらいでお邪魔したとき、みんな揃ってこのプリンをいただきました。いいおじさん達10人が揃ってプリンを食べる姿も今考えると滑稽なのですが、皆さん口々においしいを連発されていました。これだけおいしいプリンを食べさせられれば、「おじゃる丸」が帰らない理由も分かるってものです。(「おじゃる丸」が分からない方は、こちらのサイトをご参照願います。

http://www3.nhk.or.jp/anime/ojaru/chara/popup/ojaru.html

この原稿を書いていて感じたのですが、食べ物のおいしさを表現するのって本当に難しいですね。私には陳腐な表現でしか味の再現ができませんので、是非ともご自分の目と舌で味わってください。

ちなみにご主人。トロントで店を開いて30年が経ちます。角刈りに口ひげをたくわえ、空手は四段。関西弁を話し、一見その筋の方かと見まがうほどの風格があります。ただ、お話しすると物腰柔らかで関西人特有のユーモアがあります。気は優しくて力持ちを具現化したような方です。ゴルフには腕に覚えがあるそうなので、お好きな方はおいしい料理をいただきながら、ご主人とゴルフ談義に花を咲かせてはいかがでしょうか。

Mikado Restaurant
114 Laird Dr., Leaside, Toronto
416-421-6016

詳細はウェブサイトにて http://www.mikadorestaurant.ca/

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