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Who Canada−著名カナダ人を知ろう
ビクトリア時代を生きた 冒険好きなカナダの現代美術の母
エミリー・カー(Emily Carr) 1871‐1945
フリーランスライター 三藤あゆみ
エミリー・カーは、ブリティッシュ・コロンビア(BC州)やアラスカの先住民と交流しながら、彼らの生活や西海岸の自然を感性豊かに描いた作品で有名である。美術館のコレクションやポストカードなどでもおなじみの、カナダを代表する画家だ。
1871年12月、BC州ビクトリア生まれ。9人兄弟姉妹の下から2番目、他のきょうだいたち同様ミッションスクールに通わされ、ビクトリア時代の価値観をもった、がんこで厳しい父親のもとで育つ。しかし、おとなしく親のいうことをきく姉たちとは違い、エミリーは小さいうちから、当時の社会的価値観や、“理想の女性観”に疑問を投げかけ、親に反抗的な態度をするのもためらわなかったという。自然が大好きで冒険心旺盛、自由な発想の子どもだった。
エミリーはまだ10代の頃に、両親と死別している。
彼女は生涯のほとんどをバンクーバー島で過ごしたが、美術の勉強のため、サンフランシスコ、英国ロンドン、パリなどでも暮らした。1989年ごろ、はじめて先住民のコミュニティを訪ね、その頃すでに失われつつあったネイティブカルチャー、西海岸の力強い自然の風景や、トーテムポールの並ぶ村の様子を描きはじめた。また、先住民のアートの手法や色使いなども学び、自分の作品にとりいれていったという。
1910年にパリのアカデミー・コロラッシに入り絵を学んでからは、ポスト印象派などの影響を受け、当時にしては斬新的な作品を創作しはじめる。しかし、19世紀から20世紀はじめのビクトリアでは、伝統的な印象派タイプの風景画以外は理解されず、作品を売るどころか絵を教える仕事につくのさえ困難だったそうだ。
生活に困ったエミリーは、家畜を育てたり野菜を作るなど農業をして生計をたてるようになる。ときには陶器を作って売ったりもした。ぜいたく品でもある絵の具を買うお金がなかなか作れないときは、安くて量の多い缶入りのペンキを買ってそれで絵を描いたが、画家としてのキャリアを半ばあきらめかけたこともあったそうだ。
しかし、1927年、オタワで開催される絵画展に招待される機会がやってくる。そこでグループ・オブ・セブンの画家たちに出会ったのが、エミリーの作品が世に知られるようになった大きなきっかけである。中でもローレン・ハリスは、彼女の作品を気に入り、本格的な作品作りを再開するようエミリーを励ます。ハリスは、グループ・オブ・セブンの展覧会があるときにエミリーの絵を招待出品として展示させたり、さまざまなアドバイスをしたりして、エミリーの芸術活動と作品そのものに大きな影響をあたえた。数年のうちに、エミリー・カーは「カナダの現代美術の母」と呼ばれるようになる。
エミリー・カーの作品は、トロント周辺ではマクマイケル美術館のコレクションが有名。最も多くエミリーの作品を所蔵しているのは、BC州のバンクーバー美術館。また、BC州ビクトリアには彼女の生家が残されており、観光地としてもよく知られる。
エミリーは画家としてだけでなく、作家としても興味深い作品を残している。彼女のライターとしての才能を認める文学評論家や歴史家も多く、絵より文章に力をいれていたら、偉大な作家になっていたのではという評価もある。
本のいくつかは日本語でも翻訳出版されており、自伝や『カナダ先住民物語』などが手に入る。原書のほうでは、先住民との交流を随筆スタイルで書いた『Klee Wyck』が、読みやすく内容もなかなか興味深い。
≪著者プロフィール≫
三藤あゆみ
フリーランスライター/翻訳家。日本の高校卒業後イギリスへ渡り、後にトロントに移住。トロント大学卒(心理学、東アジア学専攻)。埼玉県生まれ。 |
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