カナダのレッスンプロ 
藤井 勇 が語るゴルフ体験記




その2   ゴルフに魅せられたあの日、それから・・・  



31歳の頃、パートナーと立ち上げた和食レストランがようやく軌道に乗りはじめ少し余裕が出来た当時のことです。初めて社内ゴルフコンペを開くことになりました。場所は、地下鉄ビクトリアパーク駅の近くにあるパー3のコース。(デントニアゴルフ場です)

社内コンペで恥をかいてはイケないと、前の日に300ドルで買い揃えたゴルフ用具一式、ゴルフシューズ、帽子、手袋、全て新品で挑戦です。 第1ホール、ティグラウンドに立って、10年前に教えてもらったことを思い出しながら思いっきり振りました。ナイスショット! あれっ、ボールが動いていない・・・?

言うまでもなく、空振りです。それまで静かに見守っていた社員連中が、わっは、は、は、と大声で笑うのです。きまりの悪いこと・・・、恥ずかしいこと・・・。その日は何とかみんなでワイワイと無事終わりましたが、我胸の内は悔しくて落ち着きません。丁度そんな折、我が家にやってきた先輩が、「ほぅ、ゴルフを始めたのなら一つ教えてやろう」と言って「ゴルフのフォームは、尻をこんな風に落して・・・。グリップはこの様に・・・。スイングは・・・」といろいろと手振り身振りで教えてくれます。我ゴルフの2番目の先生です。

翌日、打ちっ放し練習場で試してみると、そこそこ飛ぶじゃないですか。うれしくなってきて、もう無我夢中で打ち続けました。その先輩とは今も時々ゴルフにご一緒させてもらっていますが、この頃はレッスンをしてくれなくなりました。ただ、ハンディを8点よこせだの、10点よこせとはおっしゃいますが・・・。

それからは、毎週ゴルフに出かけました。グリーンフィーが18ドル、ハンバーガーが2ドル。20ドルで1日遊ぶことができた時代です。今から始める人には羨ましいでしょうね。

寝ても覚めてもゴルフのことばかり。とうとうゴルフにはまってしまいました。でもどうしても、100が切れないのです。

ゴルフを始めて1年ほどしたある日、打ちっ放し場でプロが教えているのを知りました。高いだろうなぁと思いつつ、恐る恐るレッスン代を聞いてみると、30分で20ドルとの事。ゴルフ1日分です。勇気を出してレッスンを取ることにしました。その日、教えてくれたのは「テイクバックは低く真っ直ぐ後ろへ」それだけでした。ボールの後ろに砂利をばら撒いて、それをクラブで摩るようにテイクバックするのを何度も何度も練習しました。あっと言う間に、30分が過ぎました。先生は「良くなったよ」と一言、行ってしまいました。これが、3番目の先生です。これで20ドル?ハンバーガーが10コも食たべられのに・・・。

その週末、ゴームリン・グリーンゴルフ場(現在のステーションクリーク・ゴルフ場)で待望の100が切れました。初めての96!それはそれはうれしくて、早速先生にお礼を言いに行きました。「安い20ドルでした」と。勝手なものです。

4番目の先生は、毛皮商人です。34歳の頃、レストラン業の傍ら婦人用毛皮を日本に輸出していたので、よく毛皮工場へ出かけておりました。ユダヤ人のその人にゴルフの話をすると、何とその方、ハンディ3だと言うのです。ハンディ3だなんて、僕には雲の上の人の存在です。いっぺんに彼を尊敬する態度に変わりました。現金なモノです。彼が、「ここにクラブがあるからチョッと振ってごらん」と言って大鏡の前に連れて行き、「グリップがなってない」と言って手ほどきをしてくれます。鏡で自分のスイングを見るのが初めてです。結構、照れますね。

「100は切れるようになったが、それ以上上達しない」と相談すると、このクラブを使いなさいと言うのです。レッスンは無料だったけれど、結局彼のお古(エイペックス)を500ドルで買わされました。流石は、ユダヤ人。しっかり帳尻が合うようになっています。その翌日、そのクラブを使ってコンペで何と85の新記録が出て、グロスとネットで悠々優勝!この時、ゴルフのスコアは「金」で買える、としみじみ思いました(?)

5番目の先生との出会いは、36歳の頃。ウエストビュウ・ゴルフ場のマネージャー、ビルさん(現在、セイント・アンドリュウのオーナー)が僕の練習している姿を見て、「君の使っているクラブはチョッと難しくない?」と聞くので、「これは、ハンディ3の知人から譲ってもらった物だ」と自慢すると、「このクラブは、シングルの人しか使えないよ」と言うのです。エッ、高いクラブだから良いものとばかり思っていたのに、これは心外です。

一度これで打ってみてはと、ウイルソンのデモクラブを貸してくれました。なるほど、スイートスポットが広く、シャフトのしなりもしっくりします。何だかゴルフが易しくなったような気分です。いっぺんに気に入ってしまいました。結局、大枚800ドルを費やすことに。そのお礼にと言って、ビルさんがスイングはインサイド・アウトに振る様にと、指導してくれました。その頃、あの85は幻のようになっていて、しばらく90を切れないで悩んでいたところでしたが、そのレッスン後、瞬く間に88、87、85と安定したのです。やっぱり、ゴルフのスコアは「金」の力でしょうか・・・?

6番目の先生は、グレンアービー・ゴルフ場のプロでした。グレンアービーで無料のゴルフレッスンがあると聞いて、丁度新しく買い換えたキャロウエイ・クラブを持って出かけました(無料と聞くとうれしくてどこまでも出かけるのは、やっぱりケチなのかな)。すると、練習場ではなく室内でレクチャーだと言うのです。ガッカリして帰ろうかな、と思っていると、プロのジャックさんが「きっとタメになるから、聞いて行きなさい」と言うのです。そしてその頃絶好調のジャックニクラスやフレッドカプルスのビデオを見せて、正しいゴルフはウェイトシフト(体重移動)、これに尽きると言うのです。今まで、できるだけ頭を動かさないようにしていた自分にとって(そうするように教えられたからですが)、これは正にショックでした。

それが正しい事と知ると、もう我慢できません。それから毎日、夜遅く帰宅するとガレージの前で素振り1000回。3ヶ月続けました。うそじゃありませんよ、本当にしたんですから。

そうするとどうでしょう、45歳を超えて非力になったせいか220ヤードそこそこしか飛ばなかったドライバーが時々270ヤードも飛ぶようになったのです。ついに、パー5を2打でオン、イーグルが出ました。そして、その年、そのグレンアービーの7番ホールで「初のホールイン・ワン」を達成することができた記念すべきレッスンとなりました。



(7月号につづく)




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