
カナダのレッスンプロ 藤井 勇 が語るゴルフ体験記
最終回 感激の優勝
藤井 勇プロ
昨年の9月25日、カナディアン・ゴルフティチャーズ・カップに初挑戦しました。ゴルフ場は、バーリングトンにあるクロスウインズ・ゴルフカントリークラブ。名前の如く、風がきついゴルフ場です。7、8年前に完成したリンクスコースで、ご存知の方もいらっしゃると思います。本番の数週間前に、息子と2人で下見に行って来ました。コースのレイアウトはそれほど難しくなく、パターさえ決まれば何とか良いスコアが出そうな感じでした。
ところが当日は、西からの風が強く、ドライバーでも高く上げてしまうと150ヤードも飛ばないようなコンディションでした。そんなコンディションで練習しても始まらないので、スタート前の時間はもっぱらパターの練習に力を注ぎました。
会場に集まっている選手は、見るからに上手そうな人ばかり。もちろん、みなさんレッスンプロの人ばかりですから、圧倒されそうです。新米の僕と違ってベテラン揃いです。韓国系の選手がチラホラ、日本人は我一人です。全部で100名ぐらいの参加者数でした。
試合は、オープン、シニア(50歳以上)、スーパーシニア(60歳以上)とレディスの4段階に分かれます。僕はスーパーシニアで登録。スーパーシニアは32名の参加者です。
ファーストティでスタートする順番の抽選が始まります。順番が決まると名前の呼び出しがあって、マイクでアナウンスされます。まるで、PGAツアーさながらです。僕は4番目、「サム・フジイ、フロム、トロント」と呼ばれてティグランドに立つと、何だか頭がクラクラして来て景色がボーっと見えます。周りに数十名の選手が注目する中で平気でいられる訳がありません。足もガタガタ、すくみそうです。
一番ホールは短い右ドッグレッグ・パー4で、目の前が池、右は林、その後ろにグリーン、左も飛ばしすぎると林です。僕の前にプレイした人のボールがフェアウエイ中央に見えます。「よし、あれを狙おう」と決めて、安全に得意の5番ウッドでショットしました。ところが上がっていたのは僕だけでなく、ボールも迎え風に煽られて舞い上がってしまいました。アッ、池ポチャ!と思いきや、運良くギリギリのところで止まってくれました。そこから何とかパー・オン。他の3名は、僕よりも易しい所から打ったにも拘らず、風でショートしたり、右、左に流されて、グリーンを外しています。また、チッピングしたボールが風で止まらないのです。結局、パーは僕一人。他はみなボギーでした。これで、一遍に気が楽になりました。上がっていたのは、僕一人でなく、みんな同じなんだと気付いたからです。
2番ホールからは、徹底して低いボールで攻めました。転がし戦法です。他の選手は、同じく60歳以上の選手ですが、普通なら300ヤードぐらい飛ばす力があるのに、風に煽られて右、左にフェアウエイから外れます。何だか、気の毒になって来ます。「イヤ、人のことを心配するより、自分のゲームに専念するように」と天の声が聞こえます。
グリーンも練習グリーンと違って、短く切ってあり、早いの何のって!それに、時々突風でとんでもない方向へ転がって行きます。もう無我夢中で、2パット、2パットと自分に言い聞かせて進みました。
結果は、3パット1回、バーディ1回、トータル77で優勝することができました。正式試合での初優勝です。賞金は6万ドル・・・?
とんでもない、600ドルですョ。
でも、賭けゴルフで勝ったのとは違って、他流試合で稼いだ600ドルですから、値打ちも「ひとしお」です。もっとも、すぐに新しいヤマハ・ゴルフクラブに化けてしまいましたが・・・。
そして、とうとう今秋のワールドカップへカナダ代表としての出場権を得ることができました。思ってもいなかった、栄誉をもらい感激した、生涯記憶に残る1日でした。
ここに、紙面をお借りして、ここまで育てて下さった先生諸氏に厚くお礼を申し上げます。
|