
カナダ医療体験談
その2 アキレス腱が切れ、緊急手術
現在未だリハビリ中・・・
富士通テン カナダ 大矢 範計
「ばちっ」という乾いた音と共に物語は始まる。今日は2006年1月28日。今月プライベートのテニスクラブに加入し、未だここでプレイをするのは2回目だ。きっとアキレス腱が切れたに違いないと思いながらも、音が聞こえた左足からは不思議なほど全く痛みを感じない。どこか別の箇所か?とも思ったものの、ベンチに担がれ、そこでうつ伏せに寝てクラブのスタッフに触診してもらうと、「かかとの上がくぼんでいるでしょ? これはアキレス腱が切れている可能性が大きいから直ぐに病院に行った方がいい」と英語で言われる。
でも汗かいているし、ひょっとして今から直ぐ手術します、となったら当分足も洗えない。緊急病院も優先順位があり、流血でもしていないと当地では平気で2〜3時間位待たされるとも知人から聞いたことがある。またOHIPカードも家に置いてある。一旦立て直して出直そう、と思い、一緒に車で行った仲間に運転を代わって頂き、コンドまで連れ帰ってもらう。不幸中の幸いは同乗していたメンバーの中に以前同僚で同じ体験を持っていてアドバイスしてくれた。
家に帰って早速シャワーを浴び、現在単身で来ているので日本に居る妻と会社の総務担当には電話をいれた。差し入れのカツカレーを食べながらいつ病院に行こうかと時計を見ながら、確か初日から手術する事は無いと聞いていたな、とアドバイスを思い返し、夜の21時頃出発。その日は自家用車を自分で運転して近くのNorth York General Hospitalの緊急窓口へ向かった。触診の結果、「アキレス腱が切れている。明日10時に出直して来なさい」と言われ、簡易ギプスを手当てされ、松葉杖(これは有料)を渡され、その日は帰宅する。
次の日はタクシーで整形外科窓口へ。「先ずは一階で受付を済ませて」と言われ、手続き後、Day Surgeryの看板に向かう。ここで手術前の血液検査と問診表(これまでに大きな病気や怪我の有無、アレルギー、持病など)を分かる範囲で記入し、それを元に改めて看護士からヒアリング。「着替えをこれに入れて」と口に紐のついたビニール袋を渡され、病院服に着替える。「貴重品もこの袋に入れて大丈夫か」と確認するとSafety紙袋を渡された。
事前検査の結果は異常なし。時計を見るともう13時。いよいよストレッチャーに乗せられ、手術室へ向かう。入口で順番を待っていると何だか研修医みたいのが挨拶に来る。手術するのはあなた方では無いですよね?と思っているとDrが現れ、「○○です、私が担当します。え〜っとRepairするのは左足だったよね?」とサインペンで左足に印をつける。おいおい大丈夫か・・・。
当然部分麻酔で進めると勝手に思っていたら当地では全身麻酔。目が覚めると既に病室。預けたビニール袋も配達されている。時間は16時。看護士が回診に来て、「今日はもう帰っていいですよ。でもどなたかに迎えに来てもらって下さい」と。身内は日本だし、会社のメンバーにも頼めない。身元引受人が見つからない、と告げ、「空いている病室が無いのですか?」と尋ねると一室空いてそこで一泊する事になる。
「英字新聞やら雑誌(表紙はボロボロ)やら要りますか?」から、食事のメニューの好みまで一人一人聞きに来るなど、まるでフライトアテンダントのように病院のスタッフが来る。「次の日の朝には退院するからメニューは必要無い」と告げると、「それでも念のため好みを教えて下さい」と言われ、結局三食、病院食を食べる事となった。
次の日には受付でタクシーを呼んでもらって、帰宅。食い物が無くて困ったと思っていると、以前日本で同様のご経験のあるお客様の一人からZENの太巻きの差し入れ。本当に有り難い。翌日には大事な会議があったので通勤(もちろん怪我は左足なので自走)。また、翌々日には幸い、妻が直ぐ日本から駆けつけてくれたので助かったが、こういう時、単身は本当に堪える。
後で聞くとアキレス腱の切れた音は、ベンチで観戦していた方のみならず、反対側のコートで対戦していたメンバーにも聞こえたほど凄かったそうだ。
なお何回かギプスを巻き直し、完全に取れたのは3月21日と約1ヶ月半後。記事を書いている今日は6月13日。今朝もリハビリに行ってきたが回復は順調とPhysiotherapistのコメント。実はゴルフもカートなら始めて良いと言われたので、先月末から徐々に再開している。でも準備運動とストレッチは以前よりは少し気を使っている。
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