Who's Who Canada−著名カナダ人を知ろう



スパイダーマンやスポーンを生んだアメコミ作家


トッド・マクファーレン(Todd McFarlane)
1961-


Todd McFarlane


フリーランスライター 三藤あゆみ



Spiderman 
スパイダーマン 
スパイダーマン、バットマン、超人ハルクなど、日本でもお馴染みの正義の味方スーパーヒーローや、その他多くのキャラクターを世におくり出してきたアメリカの漫画出版社、マーベルコミックス(Marvel Comics)。

そのマーベルコミックスの元人気漫画家で、 スパイダーマンや、アメリカ・カナダで80年代大ヒットした漫画「スポーン」を生み出したのが、アルバータ州カルガリー出身の、トッド・マクファーレンです。

現在は、アメリカンコミックスのキャラクターやプロスポーツ選手などのアクションフィギュア人形メーカー、マクファーレントーイズ社の社長としてもよく知られています。

漫画(コミックス)、ホッケー、野球といえば、まだパソコンやインターネットが普及していなかった頃の、カナダ人少年たちの三大趣味でもあり夢でもありました。例に漏れず、この3点セットに夢中だったトッド少年が47歳となった今、トッド・マクファーレンの名があがるところには必ずといっていいほどアメコミ、ホッケー、野球の文字があります。少年時代との違いといえば、“大金”や“権利”が絡んでいるということでしょうか・・・。

カルガリーのウィリアムアバーハート高校時代、トッド・マクファーレンは野球部の主力選手として活躍し、「スポーツ推薦」で大学奨学金を受け、アメリカのイースタン・ワシントン大学に野球選手として入学しました。大好きな野球を続けながら、勉強のほうも子どもの頃から興味のあったグラフィックアートを専攻するという充実した大学生活がはじまります。卒業後は、メジャーリーグに入るのを目指して練習に励んだそうです。しかし、それもつかの間、練習中に足首を痛めたトッドは、野球選手の道を断念せざるをえなくなります。

1984年、グラフィックアートの才能が認められ、トッドの漫画が初めて雑誌に掲載されます。といっても、アメリカンコミックスは、テレビ番組に似た方法で制作され、出版社の編集長とスタッフが企画を決定し、ストーリーはライターが担当、そしてインカーと呼ばれるグラフィックアーティストが漫画を描き、スケッチをする人、色をつける人、というように分業で行われることが多く、特に当時のマーベルコミックではそのやりかたが一般的でした。その中で、トッドはインカーとしてデビューしたというわけです。トッドは、マーベルコミックスでグラフィックアーティストとしてのポジションを得ます。

やがて『超人ハルク』や『バットマン』などを描くようになり、アーティストとして有名になっていきます。そして、彼を“スター漫画家”の地位に押し上げたのが、あの『スパイダーマン』。原作ストーリーをもとに、現在私たちが映画や漫画で目にするスパイダーマンの姿をデザインしたのが、トッドでした。

それまでの漫画のスパイダーマンの姿を一新して、クモを思わせる大きな目、引き締まった体にクモの巣模様のコスチュームを着せ、クモの糸をつかって空中を移動する・・・などのアイディアを盛り込み、ライターのディビッド・ミシェリニとのコンビで大ヒット作を生み出しました。この『アメージングスパイダーマン』は、アメリカンコミックのコレクターの間でたいへん価値のあるシリーズとなっています。凶悪な敵キャラクター「ベノム」を最初に描いたのもマクファーレンです(これは映画の『スパイダーマン3』にも登場)。

コミックアーティストとしてのキャリアが花開いたトッドは、90年代に入ると、スパイダーマンの漫画を描くだけでは満足できなくなり、ストーリーや詳細も自分で手がけたいと編集長に申し出ます。彼の才能をみとめた編集長は、トッドにすべてを托し『スパイダーマン#1』が出版されました。ライターなどと意見がぶつかることも多々あり、えらそうな奴と噂されていたそうですが、けっきょくトッド原作・漫画の『スパイダーマン#1』は、250万部も売れました。

Spawn 
スポーン 
その後、新しい編集者と意見が合わないトッドは、マーベルコミックスから独立して小さな出版社を始めます。ほか6名のコミックアーティストを誘い、新たにイメージコミックスという会社を設立しました。そこで、今度は『スポーン(Spawn)』という、オカルト的雰囲気のヒーローを主人公にした大ヒット漫画が生まれます。『スポーン#1』は、北米で170万部売れ、インディの漫画出版では今も売り上げ部数最高記録となっているそうです。

スポーンの人気は、やはり北米が一番盛りあがっていますが、日本にもファンはいて、映画が公開されたり、日本のゲームメーカー、ナムコから、プレイステーション用のゲームが発売されたりしています。

この他にトッドが設立したマクファーレントーイズは、アメコミキャラクターのかなり凝ったアクションフィギュアを発売して、これまた大ヒット。それまでは子供のおもちゃだったフィギュアが、大人のコレクターを増やすことになります。まるで映画と同じような躍動感のあるスポーンのフィギュアに大人のコレクターもお金を使うようになります。

マクファーレントーイズは、メジャーリーグの選手、NBAの選手、ホッケーリーグの選手のプレイする様子をかたどったフィギュアをたくさん作り、いずれも特許を取得しています。ハリウッド映画の『マトリックス』『ターミネーター』、『シュレック』のキャラクターなどもそのうちです。

しょっちゅう世間を騒がせているトッド・マクファーレンは、映画やコマーシャルに出演したり、「アメコミのストーリー作家と漫画家では、断然、漫画家のほうが偉い」などと本気で主張して作家たちの反感を買い、審査員つきの白熱ディベートを展開したこともありました。また、メジャーリーグの歴史に残るホームランボールを、何十万ドルも出して買い集めているのでも有名。2001年には、マクガイヤーのホームラン記録を破った、バリー・ボンドの73号ホームランボールを入手するのにオークションで45万ドルを払ったそうです。

さて、少年のもうひとつの夢、アイスホッケーのほうはどうなったかというと・・・。
トッド・マクファーレンは、ナショナルリーグチーム、エドモントン・オイラーズの共同オーナーでもあります。



≪著者プロフィール≫
三藤あゆみ
フリーランスライター/翻訳家。日本の高校卒業後イギリスへ渡り、後にトロントに移住。トロント大学卒(心理学、東アジア学専攻)。埼玉県生まれ。
 

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