トロント補習授業校 講演会を終えて
(生徒の小論文抜粋ほか)

「広大な宇宙と偉大な人格 
〜医師として、個人として考えること〜」




 越智文子
(The Hospital for Sick Children 小児病院神経科)


この度は、補習校の高校生の皆さんに講演するという貴重な体験をさせていただき、心から感謝いたしております。今回は、人間の脳機能を中心にお話させていただきました。後で、私の講演内容を題材に書かれた小論文を12編、興味深く読ませていただきました。どの文章も個性的で、内容もバラエティに富んでおり、一人一人の熱意が直に伝わってきました。一生懸命書いてくれた皆さんを、輝く宝石のように感じました。

私は普段、高校生と話す機会がありませんが、今回小論文を読ませていただいて、未来を託す高校生の皆さんを、とても頼もしく思いました。以下、それぞれの文章から私が感銘を受けた部分を抜粋します。一つの講演と質疑応答から、これほどまでにいろいろな観点から小論文を書いてもらうことができて、本当に嬉しく思っております。ありがとうございました。

 
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脳を作り出すという試みは無駄な事ではないと思う。脳について調べ上げて、試行錯誤を繰り返していけば、必ず新たな発見もあるはずだ。そしてその発見はのちの新たな発見の手掛りとなり、人間が持つ技術力を向上させる。
  「脳の解析、技術の向上」2年 梅木大輔


  この地球上に存在する人間は皆同じ構成をしている脳を持っているのだ。これは人類としては当然のことではあるが、私は今回それが奇跡的なことに感じた。その人が誕生してから死ぬまで、人の出会いや出来事などを事前に設定することはできない。その後の人生を過ごすのは私達一人一人にかかっているのだ。
  「六十億分の一」2年 伊川綾


  人は一つの事を続けていくとその分野の究極にたどりつく。しかしこれは決して狭い考えとなるのではなく、物事を深く洞察することができ、そして視野が広がり、ほかの物事の重要な共通項を見つけることが出来るのではないかと思う。
  「ひとつの事を極める」3年 小林和敬


脳のはたらきは「性格、個性、人格に深く関わっている」なんて、私にとっては信じ難い事実だった。なぜなら私は、それらの三つは全て、生まれた時から先天的に持っているものであり、脳で考えて作られるだなんて思ったこともなかったからである。しかし、どのような言葉を使って会話をしようとか、この状況ではこういう行動をとろうとかいうことも個性につながっていると考えると、そんなに疑問でもなくなってくる。
  無題 3年 塚本彩奈


この宇宙は限りなく広い。その中で、一つの点、或はそれよりも小さい存在である私たち人間は、大自然の偉大さに再び気づき、それに対し畏敬の念を持つべきだ。
  「人類のリミット」3年 倪?薇


自分のやりたいことを幼い頃から決めている人も入れば、先生のようにゆっくりと決めてゆく人もいる。私のやりたいことは明日見つかるかも知れない。自分がやりたいことを見つけるまで様ざまなことに挑戦して経験をいっぱい積み重ねるのが一番大切だと思う。やりたいことを見つけたら、私は精一杯努力し、力いっぱい頑張りたいと思う。
  「焦らずゆっくり」1年 芳賀麻衣子


みんな少しずつでも違う脳を持っているから、自然と一つの問題に対しても、様々な意見がたくさん出てくると思う。しかし、選択問題で答えさせる場合には、何故その選択肢を選んだかを答えさせず、間違っていてもその人なりの解釈を採点者に伝えられない。
  「十人十色の意見」1年 鈴木康之


脳は、人間の「命」といってもおかしくないと思う。たとえ心臓が動いていても、脳死に陥ってしまったら、生きているとは言えないだろう。そして、改めて本の中の亜也さんのことを思い、考えた。脊髄小脳変性症という難病で亡くなってしまった亜也さんの欲しかった「当たり前」のこと。私はこの当たり前ができていることは幸せなんだ、と今さらになって意識している。できて当たり前と思っていることは、決して当たり前じゃないこと。私は、このことを常に頭に置きながら、これから精一杯生きたいと思う。
  「無意識を意識して」1年 江口未菜美


私は大人になっても学べる事はたくさんあると思う。子どもに比べて学ぶ速さは遅いかもしれないが、ゆっくり時間をかければ言葉だって話せるようになると思う。言葉だけではなく他にも努力をすれば学べる事はたくさんあると思う。これからも時間がかかるかもしれないが、この一つの大きな壁を乗りこえていきたいと思う。
  「言葉の壁」1年 松井美沙子


一見複雑そうに見える人間の体の構造は、実はとても原始的ではあるが、合理性も兼ね備えている。それ故に、人間の体の各部分にはそれぞれ個々の重要な役割があり、人体には不必要な部分がどこにもない。あったとしてもその部位は人間の持つ環境適応能力の一つ、「退化」によって取り除かれるからである。
  「退化」1年 山崎譲二


人間の脳には、シナプスという物があり、私たちが今している勉強によって、そのシナプスが活発に働き、伸びていって、からみ合い、つながり合うことで人間が賢くなっていくのだと知った。人間が努力して勉強をすれば、頭が賢くなるのだ。つまり、努力しなければ、自ら自分の脳が育つ時期をつぶしてしまうのである。
  「人を助ける仕事」1年 新井達也


もし自分の身近な所に認知症の人が居たら、絶対にサポートしてあげなくてはいけないと、この二つの話(小説と講演)から学んだ。きっと私がサポートしなければ、万が一私が認知症になったときに、誰も助けてくれないだろう。今の私に出来ることは少ないが、リハビリをすすめたり、励ましたりは出来ると思う。
  「リハビリ」1年 本田彩香




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