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カナダで事業:業界 表話ウラ話 

今月号からスタートする新企画

〜 トロント商工会加入企業のカナダでの事業活動内容紹介や
現地の業界事情をお届けします 〜



第1回

カナダ化粧品事情






   川添 泰晴   (資生堂カナダ)



第一回は、軽工業委員会から資生堂が、カナダの化粧品事情などをご案内します。

●化粧品の市場って?
男性の方には、そもそも化粧品の市場自体がピンと来ないと思いますが、北米の化粧品市場で一番ポピュラーなのは、デパート一階にある化粧品コーナーです。例えば、ベイデパートを思い出してみて下さい。どこのベイも例外なく一階の一番人通りの多い入り口のそばに化粧品コーナーがあります。これはデパートにとっても化粧品が彼らのライフラインであることを示しています。

カナダは東西に長い国土を有し、距離的にアジアと近いバンクーバーを中心とした西海岸エリア、フランス語圏であるモントリオールなどの東部エリアと、中間に位置し経済の中心であるトロント地区では、化粧品コーナーを構成する各化粧品会社のカウンター(売り場)の配置が異なっています。前段のように、デパートにとってドル箱である化粧品においては、当然売上の高い会社によいロケーションが与えられます。 例えばトロントのデパートでいうと、アメリカ系のエスティーローダー(下写真左)やクリニーク(下写真中央)といったブランドが強く、一番よいロケーション(=人通りの多い入り口近く)を占有しています。

エスティ・ローダー

クリニーク

ランコム
これがモントリオールでは、フランス系のランコム(上写真右)というブランドがそれらにとって替わり一番店となります。 バンクーバーへ行くと、アジア系人口から人気のある資生堂が、ベイデパートでも数店一番店の場所にカウンターを構えています。

今はデパートの話をしていますが、ここで忘れてはいけないのがマック(MAC;下写真左)というブランドの存在です。カウンターの説明で私は会社名でなくブランド名を記しています。例えば、エスティーローダーという会社は複数のブランドを所有し、会社名と同じエスティーローダーというブランド以外にも、クリニーク、マック、オリジンズやアベーダなどのブランドを持っています。マックは実はカナダトロントにあるベイ・クイーン店から生まれたブランドで、その成長性に眼を付けたエスティーローダーが買収して今に至っています。先ほど売上順にロケーションが決まるお話しをしましたが、マックはある程度の売上規模があるベイデパートでは必ず一番いいロケーションにカウンターを持っています。


MAC

ベイデパート

シアーズ
今度ベイデパートやシアーズに行かれたら、少し注意深く売り場を観察してみて下さい。意外なことがわかるかも知れません。そして奥様やお友達にぜひ薀蓄をたれて下さい。
とここまでは、デパートの話をしました。カナダの化粧品市場の6割程度がここからの売上となります。

では、残りの売上はどこから来るでしょう?答えはショッパーズドラッグマートのような、ドラックストアです。話が少し元に戻りますが、ここで、ご説明しているのは、いわゆる高級化粧品(=プレステージ化粧品)のことで、普通ドラッグストアというと思い浮かぶ、安い、プラスティックの容器で外箱もない化粧品ではありません。カナダのドラッグストアには、安い化粧品だけでなく高級化粧品もきちんと売られています。詳細は後述します。

蛇足ですが、カナダ化粧品市場にはアメリカと違い、ドットコムビジネスが殆ど皆無です。我々の推論では、カナダは東西には長いが南北のうち北半分には寒くてあまり人が住んでいない上に全土にくまなくドラッグストアが存在し、そこで高級化粧品が購入できるため、あえてドットコム経由で購入する消費者が少ないと見ています。
非常に簡単にですがカナダ化粧品市場を振り返ってみました。次はその中で資生堂という日本の会社がどうかというお話しをします。

● 資生堂はアジアの会社?
お蔭様でカナダにおいて大きな化粧品ビジネスをしている日系企業は資生堂のみです。では、我々のお客様はどんな方なのでしょうか?

バンクーバーの説明で若干触れましたが、資生堂というブランド(我々は会社名とブランド名が同じ)は、やはりアジア系人口にはよく理解されていて、お客様も結果的にアジアの方が多くなっています。これは決して我々がカナダへ上陸し、そこでアジア人を相手にビジネスをしようと考えたのではなく、逆に白人やその他アジア系でないお客様にもご使用いただき、グローバルな企業して売上をあげることを命題としています。 しかし現実ではまだまだそこまでの道のりは長く、認知されるほどに「アジア人向けブランドであろう」という認識が深まりつつあることも、日頃のビジネスを通じて感じるところです。

資生堂カウンター

では、どんな商品がカナダの資生堂カウンターで売られているのでしょうか? たまに日本へ帰国すると、テレビコマーシャルで資生堂の宣伝をよく眼にします。例えば、大勢の女優が登場するツバキシャンプー、有名外国人俳優の登場するUNOという男性用化粧品シリーズや、最近では小泉今日子、瀬戸朝香、吹石一恵の3美人女優が登場する新スキンケア商品のテレビCMを見ない日はないほどです。

でも、カナダのデパートやドラッグストアで、ツバキやUNOを見る機会はありません。
資生堂は、消費者がとても成熟している日本市場(日本の影響を強く受けるアジア諸国も)には、国内専用商品をお客様のニーズに応える形で数多く販売しています。が、これらは法規的に一部の国でしか販売できない商品です。簡単に言えば、英語や仏語が表示されておらず、カナダや米国ではそのまま販売できないのです。たまに日本の方から「なぜ?」と質問を受けることがありますが、化粧品も日本の厚生省にあたるヘルスカナダの監督下でのみ販売できる商品なのでクリアすべきハードルは意外と高いのです。

では何を売っているのと?と興味を持たれることでしょう。日本のデパートにはカナダと同じように化粧品コーナーがあり、そこは殆どカナダやアメリカのデパートと同じ風景で日本国内の化粧品会社に加えて、前に列挙した外資の化粧品会社も軒を連ねています。その中にある資生堂カウンターでは、カナダで販売している商品と全く同じ化粧品が売られています。きっとより簡単にご理解いただくには、車を想像されるといいでしょう、同じスペックの車種が国内と海外では違うブランド名で販売されたりしています。資生堂化粧品は、一部国内でも海外の同じブランドの商品が売れられていると思ってください。

ここでもう少しだけ、カナダ(海外)での資生堂のビジネスをご紹介します。日本のいかなるメーカー(製造業)もそうだと確信していますが、やはり海外の競合と伍していくには、まず品質が第一であり、この点では絶対に負けない自負があります。海外で調査しても、品質については圧倒的な優位を示してくれます。もう一つ我々が気を使っているのは、カスタマーサービスです。日本流の決め細やかなサービス、カナダのお客様も快適なサービスを提供されて嫌な感じを持つはずはありません。

しかし今、我々は大きな課題と直面しています。一つ目のそれは、たとえ海外の工場で商品を作っても、設計がメイドインジャパンなので品質は問題なく素晴らしいのですが、「資生堂=アジア人向けブランド」と思っておられる方がまだ多くて、商品をお使いいただく機会がまだまだ少ないことです。
二つ目は、店頭でのお客様へのサービスは必ず人を介して行われます。カナダでこれを担うのはカナダの人です。日本の親会社である会社に所属してそれなりの日本流な教育を実施しても、どうしても日本人が日頃日本で行っているサービスのレベルに到達しません。

そんな中、ベイデパートにおけるインストアランキングが現在6位、肌に付けるスキンケアという範疇に絞ると4位です。カナダ国内でのランキングをもっとあげるには、これから我々は何をすればいいのでしょうか。

●これからのカナダ化粧品って、どうなるの?
最初にデパートでの市場規模が全体の6割程度と説明しました。残りはドラッグストアや、最近モールにお目見えしている化粧品専門店などですが、売上がデパートからそうした新興売り場に急速にシフトしています。
一つの理由は、デパートが魅力的な販売店でなくなってきていることです。当然ですが反対に、新しい買い場がお客様の信頼を得ています、別の言い方をすると「自分で好きに触って選べる」買い方(売り方)に変ってきているのです。

≪ショッパーズドラッグマート≫

ビューティーブティック入口

ブティック全体

ブティック内フレグランスコーナー

メンズゾーン
 
上の写真を見ながら、今一度ショッパーズドラックマートを想像して下さい。お店は絶えず一方通行で、まずビューティーブティックといわれる高級化粧品売り場を必ず通ることになります。ここには、ほぼデパート一階にあるブランドが勢ぞろいしています。西海岸で強いロンドンドラッグやモントリオールを中心としたフランス語圏にあるジャンコチューというドラッグストアの系列も同様の売り場を設けています。とても不思議なことに、これは世界中でもカナダにしかない特有の現象です。想像するに、 1 朝早くから夜遅くまで開いていて、いつでも近所で高級化粧品が購入できること  2 ビューティーブティックと呼ばれる売り場は雰囲気がオープンで、お客様が簡単に商品に直接触れることができること がカナダでこうした特徴的な売り場が登場した理由ではと考えています。

セフォラ外観

セフォラ店内イメージ

モールに見られる化粧品専門店では、セフォラという白黒のストライプのお店がここ2、3年で店舗数を増やしています。また、前述の外資大手であるエスティーローダーは自分たちのグループ内のブランドの中で、マックやアベーダなどを直営店で販売しています、ランコムも最近ボディーショップというお店を買収し、自分たちが販売店を介さずに直接お客様に商品を提供できる可能性を模索しています。

  きっとタイムマシンで50年後のカナダへ行っても、デパート1階では引続き化粧品が売られていることでしょう。でも消費者の購買行動や嗜好の変化を反映して、それ以外の新しい販売方式が誕生していることは間違いありません。地球上から女性がいなくならない限り、彼女たちの美への欲求から、化粧品は決してなくなることはないでしょう。その中の一つとして、資生堂がカナダでも化粧品を売り続けていることを信じて、第一回の化粧品のお話を括りたいと思います。



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次回、貿易観光運輸委員会からのレポートを楽しみにお待ち下さい。



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