
わたしのとっておきのお店
美味しいタコスと創作メキシコ料理
FRIDA
フリーライター 三藤あゆみ
最近トロントではメキシコ料理が流行っています。テキサス風メキシカンのTexMexをバーボンで・・・という“バーボン&タコスバー”や、So-Calと呼ばれる南カリフォルニア流のメキシコ料理を出すレストランが増加中。おかげで市内のいたるところで、肉、シーフード、焼きチーズ、サボテン、チリビーンズや野菜などをミニトルティーヤに挟んだ、多種類のタコスが手軽に食べられるようになりました。
でも、タコスを出すところはバーやファーストフード系が多く、美味しい店があっても、叫ばないと会話ができないぐらい大音量で音楽が流れていたり、テイクアウト中心で席数がとても少なかったり。なかなかゆっくりできないところが、私としてはちょっと残念・・・。
そんな中、エグリントンとバサーストの近くにあるFRIDAは、とても美味しいタコスとモダンで洗練されたアステカ料理のいわゆる“ヌーベルキュイジーヌ”が味わえる上、落ち着いた雰囲気でゆっくり時間をかけてメキシカンディナーを楽しめる店です。
エスニックレストランが集中する競争相手の多いエリアにありながら、週末の夜やサンデーブランチはいつもお客さんでいっぱいです。柔らかく蒸し煮したラム肉や、鴨肉、シーフードマリネ、リブアイなどを挟み、たっぷりワカモレ(アボカドのディップ)をのせて食べるタコスは最高。できれば数人で行って、いくつか違った種類を注文し、ビールやモヒートを飲みながら味わうのがお勧めです。
タコス以外にも、マグロとアボカドのサラダCeviche de Atun con Aguacate、鴨肉のメインディッシュ、チキンをバナナの葉に包み時間をかけて料理したPollo
Pibil、アステカ風スープなど、伝統メキシコ料理をもとにシェフが創作した逸品があります。
そして締めくくりには、デザートのフラン(プリン)や、ミルクとキャラメルソースが詰まったお菓子チュロスとコーヒーを。
フードコートのタコスやブリトー、あるいは観光地のファミリーレストランでTexMex料理を食べて「メキシコ料理はいまいち・・・」という結論になっている方も、FRIDAで食事をしたらメキシコ料理に対するイメージがきっと変わります。FRIDAのフレッシュなサルサやワカモレの味を知ってから、ファーストフード店やスーパーに売っているものは、メキシカンの宇宙食バージョンなのではと思うほどの差です。
ところで、FRIDAという店名は、もうお気づきかもしれませんが、自画像で有名なメキシコの画家フリーダ・カーローにちなんだもの。オーナーシェフが子供の頃から憧れていた人物なのだそうです。
トロントのAGOでも何年か前に展示がありましたが、フリーダは若い頃に大事故で生死をさまよう重症を負い、一生体の障害を抱えながらも絵を描き続け、自由でドラマチックな人生を送りました。
メキシコにあるフリーダの生家「青い家」(フリーダ・カーロ記念館)と同じように、このレストランも外壁が青く塗られ、やはり青がテーマカラーの店内にはフリーダの作品のプリントが飾られています。映画「フリーダ」をまだ観ていない方は、ぜひ行く前の下準備にどうぞ。いっそう楽しいディナーになると思います。
Frida
999 Eglinton Avenue West (Glencedar Drive交差点の西)
416-787-2221
http://www.fridarestaurant.ca/
戻る 「とっておきのお店」記事一覧ページへ
|